鍼治療例
私が今まで診させていただいた患者さんの症例をご紹介させていただいております。
患者さんがどのような症状で来院され、私がどのように患者さんの状態を見極め、どのような鍼治療をどのぐらいの期間、頻度で鍼治療を行ったのか、その結果、患者さんの最初の症状などがどう変化したのかをご紹介させていただいております。
ご自身の症状などと比べて、参考にしていただけたらと思います。
2015-05-15 Fri
性別 女性
年齢 30歳代
最もお困りの症状 腰痛
その他の症状 首痛、肩痛、肩甲骨内側の張り
腰をかがめることができないほど痛む。腰は右のほうが痛む。臀部は左右とも痛む。
頸部や肩部、肩甲骨内側は左右とも硬く、特に右のほうが硬さは顕著です。
腹部は、おへその周りは硬く、季肋部に張りがみられます。
腰部が緩めば、それと連動して背中や肩部、頸部も緩み出すと思います。
腹部の硬さや張りは、腰部と表裏の関係であるため、腰部が緩めば腹部も緩むと考えます。それでも腹部の硬さがとれないようであれば、腹部にも鍼をいたします。
2回目は、頸部や肩部の訴えはだいぶ減り、腰部、仙骨部、臀部の治療に集中いたしました。
3回目以降は、腰痛がかなり改善がみられ、体もほぼ普段通りに動かせるほど回復しました。
初診から1ヶ月後には、特に腰が痛むことがなくなったので、一端治療を終了しました。終了して現在1ヶ月となりますが、この1ヶ月間は再発はないようです。
治療期間: 1ヶ月
治療間隔: 週に1回
初診のころは、腰痛が最もつらかったですが、首や肩もつらく、鍼をされると、ビーンと響く感覚が走り、それが治まるころに鍼を抜かれる、といった感じがしました。
2回目は、首や肩がだいぶ楽になりましたが、その分、腰のほうのつらさが際立っていました。3回目の治療後に凄く腰が軽くなり、それを境に腰痛がとれてきました。
治療期間は1ヶ月となりましたが、前半の2週間は腰部と同様に首や肩部を徹底的に鍼によって緩めるよう治療を行い、後半の2週間は腰部、仙骨部、臀部の治療に集中しました。
体は負担がかかると、負担がかかっている個所を固めて耐えようとする性質があります。この患者さんの場合、慣れない新たな仕事に就いたことで、最初に腰に負担がかかり、腰部の深部が硬くなり、それをサポートするように仙骨部や臀部が硬くなったように思えます。
その腰部の硬さが、しなやかな背骨を中心とした動きを阻害したことで、肩甲骨内側、肩部、頸部にも負担が波及し、体の上部の症状も現れたと考えます。
また、体と心は表裏の関係であるとされますので、転職したことによる精神的な負担も体に影響したことは間違いありません。
このような負担が全身に波及していった逆の経過を辿るように、まずは頸部、肩部が緩みだし、その後、肩甲骨内側、腰部、仙骨部、臀部といった順で緩みだしたことで、腰痛が解消されたと考えます。
年齢 30歳代
最もお困りの症状 腰痛
その他の症状 首痛、肩痛、肩甲骨内側の張り
初診時の症状、体質
元々、ぎっくり腰や腰痛は以前から起こしている。今回は、転職し新しい仕事が体力的にも、かなり腰に負担がかかることもあり、転職して3週間で腰が痛み始めた。腰をかがめることができないほど痛む。腰は右のほうが痛む。臀部は左右とも痛む。
診察
腰は三焦兪、腎兪、大腸兪、仙骨部と臀部にかなりの硬さがみられます。右腰部は三焦兪~大腸兪まで連なったスジ状の硬さがあります。頸部や肩部、肩甲骨内側は左右とも硬く、特に右のほうが硬さは顕著です。
腹部は、おへその周りは硬く、季肋部に張りがみられます。
治療内容
頸部や肩部、肩甲骨内側を鍼によって緩めていくことは必要ですが、治療のメインは腰部、仙骨部、臀部となります。特に、腰部、仙骨部、臀部は深部の硬さを緩めることで痛みから解放されると思います。腰部が緩めば、それと連動して背中や肩部、頸部も緩み出すと思います。
腹部の硬さや張りは、腰部と表裏の関係であるため、腰部が緩めば腹部も緩むと考えます。それでも腹部の硬さがとれないようであれば、腹部にも鍼をいたします。
経過
初診では、頸部、肩部、肩甲骨内側といった体の上部と腰部、仙骨部、臀部といった腰から下の鍼治療の割合としては、半々となりました。ご本人は、腰の痛みの訴えも強かったですが、それと同様に頸部や肩部のつらさも強く訴えていました。2回目は、頸部や肩部の訴えはだいぶ減り、腰部、仙骨部、臀部の治療に集中いたしました。
3回目以降は、腰痛がかなり改善がみられ、体もほぼ普段通りに動かせるほど回復しました。
初診から1ヶ月後には、特に腰が痛むことがなくなったので、一端治療を終了しました。終了して現在1ヶ月となりますが、この1ヶ月間は再発はないようです。
治療期間: 1ヶ月
治療間隔: 週に1回
患者さんご自身が感じられた変化
腰痛は今回が初めてではなかったのですが、仕事も転職し、これからという時に腰痛が発症し、不安に思い、鍼治療を始めました。初診のころは、腰痛が最もつらかったですが、首や肩もつらく、鍼をされると、ビーンと響く感覚が走り、それが治まるころに鍼を抜かれる、といった感じがしました。
2回目は、首や肩がだいぶ楽になりましたが、その分、腰のほうのつらさが際立っていました。3回目の治療後に凄く腰が軽くなり、それを境に腰痛がとれてきました。
考察
腰痛は以前からあったようでしたが、今回は転職され、それまでとはかなり異なる職種となって、体力的にもかなりハードな仕事となり、また気持ち的にも落ち込むことが続いたようで、そのような体と心の負担が腰痛として現れ、腰部と連動して、背中や肩、首といった順で負担がかかり、痛みを発症されていたように思えます。治療期間は1ヶ月となりましたが、前半の2週間は腰部と同様に首や肩部を徹底的に鍼によって緩めるよう治療を行い、後半の2週間は腰部、仙骨部、臀部の治療に集中しました。
体は負担がかかると、負担がかかっている個所を固めて耐えようとする性質があります。この患者さんの場合、慣れない新たな仕事に就いたことで、最初に腰に負担がかかり、腰部の深部が硬くなり、それをサポートするように仙骨部や臀部が硬くなったように思えます。
その腰部の硬さが、しなやかな背骨を中心とした動きを阻害したことで、肩甲骨内側、肩部、頸部にも負担が波及し、体の上部の症状も現れたと考えます。
また、体と心は表裏の関係であるとされますので、転職したことによる精神的な負担も体に影響したことは間違いありません。
このような負担が全身に波及していった逆の経過を辿るように、まずは頸部、肩部が緩みだし、その後、肩甲骨内側、腰部、仙骨部、臀部といった順で緩みだしたことで、腰痛が解消されたと考えます。
カテゴリー:腰痛