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鍼治療例

私が今まで診させていただいた患者さんの症例をご紹介させていただいております。

患者さんがどのような症状で来院され、私がどのように患者さんの状態を見極め、どのような鍼治療をどのぐらいの期間、頻度で鍼治療を行ったのか、その結果、患者さんの最初の症状などがどう変化したのかをご紹介させていただいております。

ご自身の症状などと比べて、参考にしていただけたらと思います。


痛風
性別 男性
年齢 70歳代
最もお困りの症状 痛風
その他の症状 腰が重い、手関節痛、歩行時のつまずき、みぞおちが硬く感じる
初診時の症状、体質
3月10日から左足親指の付け根が痛み始め、病院で検査を受けた結果、親指の付け根の痛みは痛風が原因と診断される。痛みは1週間ほど続いたが、今日3月24日の時点では痛みはない。

検査では、下の検査結果のように、尿酸値、血糖値が高いという結果で、腎機能が低下していると医師から指摘された。

第1回 検査結果 2016年3月12日
痛風 第1回検査結果

※検査の結果はご本人の快諾を得て、この治療例ページに掲載させていただいております。

医師からは、薬の服用はまだ必要ないが、食事療法に取り組んでみて、4ヶ月後の次回の検査まで様子をみる、と言われた。

ご本人としては、次回の検査までの4ヶ月間で、アルコールの摂取を控えることと食事療法に加え、鍼治療でどこまで回復がみられるか、取り組みたいとの意向。

腰が痛むほどではないが、慢性的に重い感じがある。手関節が痛むことがテニスをした時にあるが、普段の生活では痛みはない。

歩行時に左足がつまずくことが多くなっている。

みぞおちが硬く感じることがある。

診察
痛風は、足の親指、足首、手の関節などが、風が吹いただけでも痛むとされ、痛みが強いことが特徴となります。

最初の痛みは放っておいても1週間程度ですっかりなくなるようですが、放置しておくと、数ヵ月後、2~3年後、忘れた頃に同じ関節が痛み出し、発作の間隔がだんだん短くなり、痛む個所も広がり、慢性痛風となってしまいます。

痛風の原因は、血液中の尿酸の濃度が高い状態である「高尿酸血症」とされます。尿酸はプリン体を代謝した時に出る老廃物です。プリン体は食べ物の旨味成分といわれています。美味しいと感じるものほどプリン体を多く含んだ食品といえるようです。

「高尿酸血症」は、尿酸が体内で過剰に生産され過ぎる場合と、腎臓の機能低下が原因で尿酸が腎臓から尿として排出できずらい場合があるとされます。

「高尿酸血症」は、痛風の原因ばかりでなく、脳や心臓の血管障害や尿毒症の原因になる可能性があり、「高尿酸血症」の状態は危険な疾患につながるという意識が必要となります。

患者さんのお体の印象としては、腰背部としては、心兪三焦兪腎兪大腸兪、腹部は、不容中脘天枢気海といったツボに硬さがみられます。

特に腎兪の硬さを鍼によって緩めていくことと、鍼の刺激によって、腎を活性化させ、腎機能を高めることが、「高尿酸血症」の状態から抜け出し、痛風の再発防止につながると考えます。

治療内容
この患者さんの場合、30歳代から、休肝日なく40年近くビールを毎日飲んできたこともあり、尿酸値が高いのは20年近く前からで、医師からも、いつ痛風になってもおかしくない、と言われてきたそうです。

今回の痛風の痛みはかなり懲り、痛風の独特な神経痛は二度と襲われたくないとのことで、大好きなビールも絶ち、食事にも気をつけ、白米から玄米に変更するという徹底した意気込みを感じます。

飲食といった生活習慣が痛風となって表に現れたことと、腎機能の低下が原因と考えますので、生活を省みて、ご自身で生活習慣を変えること、それに鍼治療を加えていただき、腎機能を高めていくことができれば、痛風の痛みと別れられると思います。

治療としては、以下のツボを重視します。

腎兪…腎機能を高める目的。
命門…腎を活性化させ、自律神経も整える目的。
大腸兪…腰部の硬さを緩め、体の土台を整える目的。
三焦兪…副腎を活性化させ、副腎ホルモンの分泌を高め、全身の状態を上げる目的。
中脘天枢気海…腹部の臍(へそ)の周辺のツボとなりますが、臍の周りは自律神経の中継点であるため、自律神経を整える目的があります。

初診当初は、心兪付近、三焦兪腎兪大腸兪、臍の周りに硬さが目立ちました。腎を活性化させるために、腎兪命門といったツボに最も時間をかけました。それに加え、ちょっと心疾患が気になるほど、肩甲骨内縁の心兪付近も硬さが連なり、自然と鍼の本数も増えてしまう状態でした。

腹部は特に臍の左側にゴロっとした硬さが、ややはっきりとしていて、気になるポイントとなりました。

鍼治療の効果を客観的にみるという点で、今回は病院で受ける検査結果がどう変化するかを一つの指標として、経過を追っていきたいと思います。

痛風の治療ポイント


痛風の治療ポイント


経過
鍼治療は週に1回のペースで4ヶ月間、継続していただきました。

1ヶ月経過したころに、大腸兪の硬さが取れてきて、ご本人も腰の重だるさといったものがなくなってきました。

その後は、心兪付近の硬さが目立たなくなってきたこともあり、心兪付近の鍼の本数が減ってきました。その後、重視してきたのは、腎兪三焦兪命門、臍(へそ)の周りのツボとなりました。

臍の周りは、特に臍の左に硬さがはっきりとしていたのですが、硬さが目立たなくなったり、また再び硬さがはっきりと現れたりを繰り返している状態でした。

脈の状態としては、初診時は全体的に、しっかりとした強さがありませんでしたが、初診から2ヶ月後には、全体的にもバランス良く、はっきりとした脈に変化して来ました。これは、自律神経が整ってきた一つの目安ととらえることができると思いました。自律神経が整い始め、これから回復していける下地ができたように思えました。

ご本人としては、初診から1ヶ月半までは、左足の親指の付け根の痛みはないものの、歩行時につまずくことがあったり、左足が地面に着く時に違和感があったり、体の重心が左半身に傾きやすい、といった身体のバランスを欠いた状態がありましたが、左足が云々ということよりも、先に体調自体が上向き始め、それにつられて、体を動かしてみようという気になられました。

徐々に歩きにくさといったこともなくなり、軽いジョギングが始められるようになり、初診から2ヶ月後にテニスができるほどになりました。

みぞおちの硬さ、息苦しさといった症状も初診から3ヶ月後には気になることがほぼなくなってきました。

初診から4ヵ月後に、再検査を行い、結果は以下のようになりました。

※検査結果については、ご本人に鍼治療例として、ウェブページ上で公開させていただくことに快諾していただいております。検査結果表の患者さん氏名、クリニック名などの個人情報の個所にはモザイクを入れさせていただいております。

第1回 検査結果 2016年3月12日
痛風 第1回検査結果


第2回 検査結果 2016年7月8日
痛風 第2回検査結果


数値としては、以下のように改善されました。

腎機能関係
クレアチニン(正常値0.65~1.09(男性))
1.40(2016年3月12日)→1.10(2016年7月8日)

尿酸(正常値3.6~7.0(男性))
7.9(2016年3月12日)→7.0(2016年7月8日)

糖尿関係
血糖(正常値70~109)
116(2016年3月12日)→108(2016年7月8日)

HbA1c(NGSP)(正常値4.6~6.2)
5.6(2016年3月12日)→5.4(2016年7月8日)

肝機能関係
AST(GOT)(正常値10~40)
21(2016年3月12日)→19(2016年7月8日)

ALT(GPT)(正常値5~45)
17(2016年3月12日)→14(2016年7月8日)

γ-GT(γ-GTP)(正常値79以下(男性))
31(2016年3月12日)→21(2016年7月8日)

コレステロール関係
中性脂肪(正常値50~149)
81(2016年3月12日)→55(2016年7月8日)

HDL-Cho(善玉コレステロール)(正常値40~80(男性))
54(2016年3月12日)→54(2016年7月8日)

LDL-Cho(悪玉コレステロール)(正常値70~139)
121(2016年3月12日)→116(2016年7月8日)

治療期間: 4ヶ月

治療間隔: 週に1回

患者さんご自身が感じられた変化
最初に、左足の親指の付け根が今まで感じたことのない嫌な痛みが突然あり、病院で調べてもらったところ、痛風ということがわかりました。以前から、定期健診で尿酸値が高く、いつ痛風になってもおかしくない、と医師からは言われていました。

実際の足の痛みはかなり不快なものでしたが、数日経つと痛みはなくなりました。もう二度とあの痛みは味わいたくないという想いと、足の痛みがあるとテニスやスキーができなくなる、ということになりますので、生活習慣を省みて、特に飲食を改めて養生していきたいと思いました。それに、鍼治療を加えて、できるだけ早く痛風とは縁を切れたらという思いで鍼治療をお願いしました。

初めて足が痛み始めてから痛みが治まってからも、数週間は歩行時に体のバランスがうまくとれず、つまずきそうになったり、速く歩くこともできませんでした。

鍼治療を始めてからも、しばらくはそのような状態は続いたのですが、足のことよりも、良く眠れ、便通が良くなり、食欲が出て、体が軽く感じるようになり、自然と体を動かしてみようという気になりました。

その後も、様子をみながら、徐々に体を動かしていく内に、左足の付け根の痛みはなくなり、つまずきそうになったり、といったことがなくなってきて、以前のようにスポーツを楽しむことができるようになってきました。

4ヵ月後の血液検査の結果は、ほとんどの項目の数値が改善されました。これも食事の内容を変えたり、アルコールを制限したり、といったことも数値に現れたと思いますが、私としては鍼治療の効果として、体調が上向いたことが大きな要因に思えています。

今後は、今回の血液検査では、正常値の上限ギリギリの項目が多いので、もう少し正常値の真ん中に近いところを目指したいです。

そのために、引き続き食生活を中心に気をつけながら、鍼治療も継続できたらと思います。

考察
今回は、鍼治療を継続することで、検査結果にどのような変化がみられるか、という客観的な効果がみられる症例となりました。

もちろん、検査の数値だけが改善されれば、問題がないということにはならないと思いますが、一つの目安にはなるのではないかと思います。

また、鍼治療だけでなく、患者さんご自身が生活を見直され、普段の生活の中で、食事内容を考えたりといった生活環境を改善されたことが、検査結果の改善に結びついたのだと思います。

検査結果の数値が示すように、ほとんどの数値は、正常値の上限付近となりましたが、ご本人も仰っていましたが、もう少し余裕のある数値を目標にしたいところです。それでも、医師からは4ヶ月間でこれほど数値が改善するのは珍しいと言われたそうです。

検査結果では、痛風関連の数値ばかりでなく、肝機能、コレステロール値、糖尿関係、といった数値が改善されているということは、体全体の状態が上がってきている一つの指標となるといえるのではないでしょうか。ご本人も、鍼治療を始めてから、良く眠れ、食欲が出てきて、普段の体調が上向いたことに驚かれていました。

痛風は長い時間をかけて形作られてきたもので、治っていくのにも時間の経過をみていく必要があると思います。痛風の痛みは、初めての痛みは数日でなくなるものの、第2波は2年後といったように、忘れた頃にやってくるもののようですので、この患者さんにも、今後も気を緩めず、ご自身のお体と対話しながら、取り組まれることが大切に思えます。

患者さんご本人としても、検査の結果が良い方向には向かっているが、もう少し正常値の真ん中に近いところを目指したいということで、今後も鍼治療も継続していく意向のようです。

鍼治療としては、治療内容で述べたように、腎と副腎を活性化させること、自律神経を整えること、といったことを徹底し、今後もそのような治療を続けていくことで、痛風を完治していただきたいと思います。

カテゴリー:痛風

診療日




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診療時間
月・木・金:10時半〜18時半
(最終診療開始時間:17時)
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(最終診療開始時間:18時)

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