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治療の引き出し

鍼灸師になるには、3年間の鍼灸学校を卒業しなければならないのですが、その鍼灸学校の教員や卒業後に鍼灸師の先輩にあたる方々によく言われたことがありました。

それは、

「患者さんにはいろいろなタイプがあるのだから、治療の方法として複数できて、自分の治療の引き出しをできるだけ多く持てるようにしたほうがいい。」

というような内容です。

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最初の、「患者さんにはいろいろなタイプがあるのだから」というのは、その通りだと思います。同じようなタイプの患者さんはいても、全く同じという患者さんはいないのではないか、というのが私の実感です。

ところが、その後の「治療の方法として複数できて、自分の治療の引き出しをできるだけ多く持てるようにしたほうがいい。」というのは、一見、正論であるように思えますが、私としては今までの経験上、同意できません。

この「複数の治療法」というのは、鍼灸にプラスして整体、気孔、マッサージ、指圧、温熱療法、カイロプラクティック…等々、様々な治療法を鍼灸にプラスする、という意味もありますし、鍼灸治療には無数の治療方法があり、鍼灸の中でも複数、組み合わせる、といった意味もあるかと思います。

いずれにせよ、「複数の治療法」ができると、患者さん一人一人に合った治療法が選択できるから、例えば、鍼灸で通用しない、結果が出ない患者さんが現れた時は、指圧をやってみる、とか、最初から複数の治療法を試していく、といったことがあるかと思います。

でも、本当に「複数の治療法」ができると、患者さんのお役に立てるような結果につながるでしょうか。

私は治療の際、鍼と灸どころか、鍼しか使いません。しかも、石坂流鍼術という鍼の方法しかしません。

では、患者さんにはいろいろなタイプがいらっしゃるわけですから、どんなタイプの患者さんが来られても、石坂流鍼術の鍼だけで常に通用するのか、ということになりますが、私の鍼でなかなか効果が出ない、といった患者さんが過去にもいたことは事実として、あります。

私は、そのような時、もし、私が石坂流鍼術の鍼以外のなんらかの他の治療法ができたら、その他の治療法をその患者さんに試すと思います。

私の考えでは、そうしたら、自分の鍼の成長はそこで止まってしまうということだと思います。つまり、他の治療法に逃げる、ということだと思います。

たとえ、通用しない患者さんを目の前にしたとしても、どうにか自分の鍼で、患者さんが納得していただける、喜んでいただける鍼をするには、どう工夫すればいいのか、を考えて考え抜いて、微かなヒントというか、突破口を見出し、毎回、その患者さんに鍼で挑む、ということを私は鍼灸師になってから繰り返して継続してきたと思っています。

それでもうまくいかなかった経験もありますし、悩んで悩みぬいて、それでもうまくいかず、落ち込んだこともありましたし、未だに、日々、患者さんに鍛えていただいている感覚があります。それでも、他の治療法に逃げることはしません。

鍼がダメなら、灸で、それでもダメなら、指圧にしてみよう、としたら、その時点で、鍼の成長はそこまでで、鍼の実力が伸びることはないのではないでしょうか。

私の鍼の師匠は私に、

「鍼の技術というものは、10年続けて、やっと一つの形になる。そして、その次の10年でまた違う形となる。それを続けていきなさい。」

と、よく言われました。

これは、鍼の技術というのは奥深いもので、1年やった、2年やった程度では話しにならず、10年で一区切り、といった姿勢で、鍼に取り組みなさい、という意味があるのだと思います。

それに加え、別の観点からすれば、灸にしても、指圧にしても、整体にしても、鍼治療同様、10年一区切り、といった長い時間をかけて形にしていく技術であって、そのような様々な治療方法を複数、取り組んだとしたら、複数のそれぞれの治療法が一つの形になるだけでも、鍼も10年、灸も10年、指圧も10年、整体も10年、となれば、全てが一つの形になるまでですら、何十年、何百年かかってしまうのではないか、と思ってしまいます。広く浅くなってしまったら、逆に遠回りになってしまうのではないかと思います。

それならば、逃げ場のない苦しい状況があったとしても、「鍼」という一つの技術に全精力を注ぎ込んで、鍼に数十年かけ、一つの技術を奥深く探求するほうが、結果的には、患者さんのお役に立てる技術に近づけるのではないか、というのが私の考えです。

私の一人よがりのようになってはならないとは思いますが、「鍼」という技術を駆使して、臨機応変に患者さんに対応できたらと思っています。

「治療の引き出しは、自分がこれだと思う確信の持てる引き出しが一つあれば良いのでは。」

というのが私の考えです。

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カテゴリー: 鍼治療の説明

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