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鍼治療例

私が今まで診させていただいた患者さんの症例をご紹介させていただいております。

患者さんがどのような症状で来院され、私がどのように患者さんの状態を見極め、どのような鍼治療をどのぐらいの期間、頻度で鍼治療を行ったのか、その結果、患者さんの最初の症状などがどう変化したのかをご紹介させていただいております。

ご自身の症状などと比べて、参考にしていただけたらと思います。


妊娠中、産後のケア
性別 女性
年齢 20歳代
最もお困りの症状 妊娠中、産後のケア
その他の症状 首・肩・腰の痛み、目の疲れ、胃痛、眠りが浅い、冷え性、頭痛

初診時の症状、体質
妊娠8週目。第2子目であり、第1子は現在0歳8ヶ月。

悪阻は第1子の妊娠時よりも今回のほうが軽い。睡眠は夜中に長男に起こされることが多く、眠りは浅い。疲れやすく、体はだるく感じる。寒がりで手足の冷えがある。精神的には憂うつ感がある。

目の疲れから首、肩にかけてつらさが連なる。腰部は痛みが常にあるわけではなく、体を捻ったりすると腰部に鋭い感覚が走る。胃痛、胃もたれがあり、妊娠前からある。

診察
身体的には、虚弱体質ではなく、元々体に力があるタイプに思えます。表面上は柔軟性が高いですが、体の深部には硬さがあり、その硬さが痛みや体の冷えの原因に思えます。特に、頸部肩部第5胸椎付近、第2腰椎付近、第4腰椎付近の深部に硬さ(硬結)がはっきりと存在しています。

治療内容
鍼治療では、体の浅い所や深い所に存在する硬さである硬結(こうけつ)に鍼を当て、その硬結を徐々に緩ませていくことで、体の滞りを解消し、循環を高め、血行を改善させ、ご自身の持つ自然治癒力が充分に発揮できる身体を目指します。

循環の良い体は、上記の諸症状を改善するばかりではなく、赤ちゃんにとっても、良い影響があり、安産に向けて体が整っていきます。

過去に治療させていただいた妊婦さんにも、妊娠前、妊娠中、出産後にも鍼治療を受けていただくことで、喜ばれておりました。

特に、出産時は骨盤が開閉することから、出産後に腰のダメージを引きずり、その後も腰痛に悩まされるお母さんはよくいらっしゃいますので、出産後のケアとしても鍼治療をお奨めいたします。

現在ある、首、肩、腰のつらさは、お腹が大きくなるにつれ、腹部が下方に引っ張られることから、特に腰背部と左右肩甲骨の間のつらさが強まったり、張りがでてきたりすることが考えられます。この腰背部と左右肩甲骨の間を緩めていくことも重要なポイントとなります。

妊娠中、産後のケアのポイント

経過
初診時には、頸部肩部第5胸椎付近、第2腰椎付近、第4腰椎付近の深部に硬さがみられ、この硬さを緩めることから始めました。

2回目の治療時は、お腹が大きくなってきたこともあり、うつ伏せの体勢で治療を受けるより横向きのほうが楽とのことで、横向きの体勢で治療を行ないました。腰部に鍼をしていると深部の硬さに変化がみられました。ご本人は治療中、途中で寝ているようでした。

その後は、お腹が大きくなるにつれ、ご本人としては首、肩、背中、腰がガチガチに固まってきている感覚があり、つらさが増すことがありましたが、鍼をすると、特に腰が楽になると仰っていました。

早産の可能性が高くなり、出産の予定日が早まるということでしたが、実際は当初の予定日通りに無事に出産されました。

出産後は、赤ちゃんを抱いていると腰がつらくなる、といったことがあり、また夜中に起きることが多いために寝不足感があり、頭痛が頻繁にあるようになりました。

治療期間: 1年
治療間隔: 月1回


患者さんご自身が感じられた変化
以前から実家の近所の鍼灸院などで鍼灸治療を受けてきた経験がありますが、初診時からこの治療院を受けてきた印象としては、やさしい鍼に感じ、治療中もウトウトとしてしまうことが多かったです。

首、こめかみ、肩、肩甲骨周り、背中、腰といった個所が妊娠中からかなりつらかったですが、鍼を受けると特に腰が軽くなり、それに従い、首や肩も楽に感じました。

出産後も出産時の骨盤の開閉に伴うダメージなどを鍼治療でケアして、出産時のダメージを引きずらないようにしたいという思いがあって、出産後も引き続き、治療をお願いしました。出産後は子供の世話もあって、特に腰がつらいこともありますが、定期的に鍼治療に通って、体のメンテナンスができたらと思っています。

考察
初診時から7ヶ月は妊娠中ということで、横向きの体勢で鍼を受けていただくことが多かったですが、首、肩甲骨周り、背部、腰部の硬さを緩めることを第一に治療を進めました。

早産になるので早めに入院する、といった時期がありましたが、鍼治療とどのような関係があったかは断定できませんが、当初の予定日通りに出産された、ということもありました。これは鍼治療によって、お体のバランスが整い、最良のタイミングで出産を迎えられたといえるのかもしれません。

出産後は、ご本人も産後のケアとして、しっかりと鍼治療を受けていきたいというご意向もあり、こちらとしても、まずは出産時のダメージを回復させることを念頭におき、治療させていただきました。

出産後は、赤ちゃんの世話で、抱きかかえたり、屈みこむことが多く、腰部が痛むこともありましたが、第4~5腰椎仙骨部といった背骨と骨盤の境目の最も負担のかかる個所を徹底的に鍼で緩めていくことを最優先としました。

また、この患者さんの場合、首、肩のつらさや頭痛を訴えることが多く、首、肩、こめかみといった肩から上に現れる硬さや張りを緩めることも重視しました。

振り返りますと、まずはとにかく、無事にトラブルなく出産されたことが良かったですし、産後もご本人のご意向も強く、産後のケアとして鍼治療に取り組んでいただけたことをうれしく思います。今後も、定期的に鍼治療を生活に取り入れていただけたらと思います。

カテゴリー:妊娠中、産後のケア

診療日時
月・木・金:10時半〜18時半
(最終診療開始時間:17時)
土・日:10時半〜19時半
(最終診療開始時間:18時)

休診日
火・水
火・水以外の祝日は診療日となります。

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