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鍼治療例

私が今まで診させていただいた患者さんの症例をご紹介させていただいております。

患者さんがどのような症状で来院され、私がどのように患者さんの状態を見極め、どのような鍼治療をどのぐらいの期間、頻度で鍼治療を行ったのか、その結果、患者さんの最初の症状などがどう変化したのかをご紹介させていただいております。

ご自身の症状などと比べて、参考にしていただけたらと思います。


下痢
性別 男性
年齢 20歳代
最もお困りの症状 下痢
その他の症状 腰痛、目の疲れ、肩こり
初診時の症状、体質
腸の調子が悪く、下痢をすることが多い。便秘することはまずない。

元々、腸の調子を崩しやすかったが、2年前から職場のストレスが強く、下痢することが多くなった。

腰痛は以前からあり、腰の痛みには慣れてしまっていて、腰痛を解消することはあきらめている。

体は疲れやすく、だるさがある。肩こりや目の疲れを感じている。

診察
肩部第8胸椎第1腰椎第4~5腰椎仙骨部の上部は硬さがはっきりとあります。特に第4~5腰椎仙骨部は非常に硬く、鍼が入りにくいほどの硬さがあります。

第1腰椎付近は、膵臓(すいぞう)や胃と関連が深く、第4~5腰椎付近と仙骨部は、大腸、小腸と関連が密接にあります。

治療内容
腹部のおへその下も含めて、第4~5腰椎仙骨部の深部を緩めていくことで、腸の調子が整ってくることはもとより、腰痛の改善・解消も期待できます。

初診では、腰部が非常に硬かったですが、鍼によって腰部の深部が緩み始めれば、徐々に腰部の柔軟性も高まると思います。「硬い」ということは、そこを通う臓器につながる神経の働きが鈍い、ともいえます。柔軟性が高まれば、神経の働きが高まり、それにより、臓器の働きも活性化されると考えられます。

また、鍼治療の効果として、自律神経系や血液循環が高まることから、腸の調子や腰痛の改善のみならず、体調全体にも良い影響が出てくると思われます。

下痢の治療ポイント


経過
鍼治療を始めるまでは、下痢がかなり深刻で、奥様から内科で検査を受けるよう言われていたようでしたが、ご本人としては、内科で処方される薬剤で、完治できると思えなかったため、鍼治療を選択されました。

まず、下痢の症状ですが、2回目の来院時から、下痢が続くことがほとんどなくなりました。ただし、時より下痢することもあり、その時には必ずといっていいほど、仕事で徹夜するといった仕事がハードであることがありました。ご本人も自覚されていますが、この患者さんは、何かストレスが心身にかかると、下痢という形で症状が現れるタイプといえます。

また、腰痛に関しては、ご本人は腰は痛い状態が当たり前で、腰痛から開放されることはあきらめていると初診時には仰っていました。

腰部には、消化器系と関連の深いツボが存在し、この患者さんの場合も腰部の治療を最も重視しました。

消化器系の治療を継続していく内に、下痢の症状が改善されるばかりでなく、腰部の深部が鍼によって緩んでくるに従い、腰痛も改善されました。まさに一石二鳥といえたのではないでしょうか。

鍼治療を開始されてから2ヵ月後には、下痢、腰痛といった症状がほとんどみられなくなり、体調が安定してきました。

その後は、私としては、治療間隔を徐々に空けていってもよいことをご本人に伝えましたが、ご本人としては、週1回の治療を継続していきたいとの意向があり、1年間通院されました。その後は、治療を終了し、何か問題がある時に、来院していただくようにしています。

治療期間: 1年(症状が改善し安定するまでは2ヶ月間)
治療間隔: 週1回

患者さんご自身が感じられた変化
2年前から仕事のストレスもあり、下痢することが多くなり、家族からも心配されていました。自分としては、内科の薬で解決する気がしなかったので、鍼治療を選択しました。

1回の治療で、それまで下痢が続いていたのが止まりました。その後は下痢する時はあるのですが、その時は仕事がハードな時です。

私の場合、腰痛はあって当たり前、といったことが長く続いていました。自分としては腰痛に関しては、あきらめていました。

鍼治療を続けていく内に、腰が楽になり、初診から2ヶ月で、下痢と腰痛がほぼなくなり、自分としても驚きました。

考察
下痢が続いていたことと、腰痛があるのが当たり前だったということが、深く関連していた患者さんでした。

腰部の上部には、膵臓(すいぞう)や胃、下部には大腸や小腸といった消化器系の臓器と関係したツボが存在します。

これは、脳から始まる神経が背骨の中を通って各臓器につながっているのですが、その神経の走行上に「硬結」と呼ばれる滞りができてしまうと、その神経が圧迫され、臓器の働きが停滞してしまうことが起きます。

例えば、胃を癒すという意味の「胃兪(いゆ)」というツボがありますが、これは、第12胸椎~第1腰椎付近にあるとされ、脳から背骨の中を通ってきた神経がこの第12胸椎~第1腰椎付近から枝分かれして、胃につながっています。第12胸椎~第1腰椎付近に「硬結」と呼ばれる滞りが胃につながる神経を圧迫して胃の機能が低下することが起きます。

この患者さんの場合は、第1~第5腰椎仙骨部の深部に「硬結」がはっきりと存在していたことからも、消化器系の臓器につながる神経を圧迫し、消化器系の臓器の機能が低下していたといえると思います。

この「硬結」とは体の歪みというか、負担のかかっている所にできるともいえます。人間の体は負担がかかりバランスが崩れると、負担のかかっている所を硬くして、なんとかそれを支えようとします。よく眠れていない、充分な休息がとれない、ストレスから開放されないといったことが続くと、バランスが崩れたままの状態が固定化され、様々な症状として現れてきます。症状としては、神経が圧迫されることによる臓器の働きの低下であり、また硬く固まった個所は血流が悪くなり、冷えや痛みの原因となります。

この患者さんの場合、腰部の「硬結」が、下痢が続くという消化器系の症状の原因と腰痛の原因となっていたことから、この腰部の「硬結」が鍼によって緩み解消されることで、下痢と腰痛という2つの症状が改善されたといえます。

カテゴリー:下痢

診療日時
月・木・金:10時半〜18時半
(最終診療開始時間:17時)
土・日:10時半〜19時半
(最終診療開始時間:18時)

休診日
火・水
火・水以外の祝日は診療日となります。

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