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鍼治療例

私が今まで診させていただいた患者さんの症例をご紹介させていただいております。

患者さんがどのような症状で来院され、私がどのように患者さんの状態を見極め、どのような鍼治療をどのぐらいの期間、頻度で鍼治療を行ったのか、その結果、患者さんの最初の症状などがどう変化したのかをご紹介させていただいております。

ご自身の症状などと比べて、参考にしていただけたらと思います。


腰椎椎間板ヘルニア
性別 男性
年齢 40歳代
最もお困りの症状 腰椎椎間板ヘルニア
その他の症状 眠りが浅い、下痢、冷え性、めまい、アドピー性皮膚炎、疲れやすい、肩こり、むくみ

初診時の症状、体質
小学5年生の時に腰椎を痛め、腰椎分離症と診断される。

20代に腰部椎間板ヘルニアと診断される。

2週間前に腰部に激痛が走り、立てなくなる。その後、今日まで休業し自宅で安静にしていた。

今日の症状としては、腰部の痛みは激痛ではないが、はっきりとあり、右臀部~右足の母指と示指の間にかけて、坐骨神経痛があり、恐る恐る歩くようで、長距離の歩行は困難。臀部~足へのしびれ、痛みは右に出る。

長時間、座ったままだと、右臀部~右足の指にかけて坐骨神経痛がはっきりと現われる。

去年の年末に首と腰に激しい痛みが現われ、立てなくなったことがあった。それ以来、骨盤と腰部が右へズレるような感覚がある時に、激しい痛みに襲われる。

眠りが浅く、夜中に目が覚めることが多い。便通は毎日あるが下痢傾向。手足が冷え、背中がゾクゾクすることもある。肩こり。めまいがあり、足のむくみがある。疲れやすさは感じる。

診察
寝たきりの状態であったため、初診時は往診しました。腰部の激痛で立てなくなってから2週間、経っていたので、2週間前のような激痛はないものの、動きとしては恐る恐るでかなりつらそうでした。

腰部は明らかに、腰と骨盤の境目、臀部を中心に深部が固まっている印象でした。

お体全体のバランスとしては、第5腰椎付近は右、第3腰椎付近は左、第11胸椎付近は右、といったように左右にジグザグに硬さがみられ、左右差が大きくなるほど、腰の痛みも強まると考えられます。

治療内容
訴える症状は多いですが、治療は、あれこれと手を出さず、基本的な治療に集中いたほうがいいと感じます。

頸部肩部肩甲骨内側、腰部は第2~5腰椎仙骨部臀部に鍼を念入りに行い、とにかく硬さを少しずつ緩めることが第一に思えます。

腰部、仙骨部周辺、臀部をできる限り緩ませることができれば坐骨神経痛も徐々にとれてくると予想できます。

長期に渡って患ってきたこともあり、症状も強いですが、腰部が緩みだせば、自然と体が動き始め、それが回復を早めるように思えます。

腰部が整ってくれば、自然と体の上部のバランスも整い、睡眠の質の改善、めまい、肩こりといった症状も改善されると考えます。また、そうして、体の全体の循環が淀みなく巡りだせば、冷え性、むくみといった症状にも改善がみられるはずです。

腰椎椎間板ヘルニアの治療ポイント

経過
初診 7月10日
腰部の鍼は、非常に入りにくいが、本人は臀部と下肢にかけて響きがでやすく、鍼の効きは良い。鍼の響きは右臀部~右足の母指と示指の間にかけてあり、これは本人の症状である坐骨神経痛と同じ走行であることから、治療の効果は期待できる。

ご本人は、治療直後に右足がかなり軽く感じたが、臀部~右下肢にかけての坐骨神経痛はとれない。

治療前はほぼ寝たきりでしたが、治療後は立てるようになり、私が往診を終えて帰る時に、玄関まで送ってくださいました。

治療の翌日は、腰痛はあるが、肩の緊張がとれていて呼吸が楽にできていると報告を受けました。

第2回目 7月17日
ご本人は、先週よりも動けるし、下肢の坐骨神経痛も軽くなってきたが、座り続けたり、階段の登りや立ちっぱなしの時に腰がつらい。

痛み止めの薬剤は忘れて服用しない日もあった。

前回の治療後、呼吸が楽な状態は続いていて、黄色い痰がかなり出た。

首が耳の高さから肩にかけて緩んできている。鍼は、第2~5腰椎を中心に時間をかける。響きは良い形で出ているので、直に効果が出てくるように思える。

第3回目 7月25日
ご本人としては、腰部の痛みが取れてきていて、坐骨神経痛も意識がないほどになってきた。

歩く距離が長いと腰がつらくなってくる。

前回の治療後、咽頭部の浮腫みがとれてきて、呼吸がさらに楽になる。

腰部の鍼はだいぶ入りやすくなってきていて、腰部全体が緩んできたように思える。

第4回目 8月21日
坐骨神経痛が左右の臀部から大腿の内側にかけて走る。

約1ヶ月ぶりの治療となり、また坐骨神経痛が再発したが、今回の坐骨神経痛の出かたは今までと異なるように思える。

前回までの3回の治療でだいぶ腰部が緩んできてはいたが、核心部には硬さがあり、この硬さが完全にとれるまでは、痛みを発したり治まったりが続きそう。

治療は第2~5腰椎臀部にかけてを中心としながらも、肩部、背部の硬さをとることも意識した。

第5~8回目
痛みを感じてきたり、これ以上、痛みが悪化してくると坐骨神経痛が出そうになると来院される。不定期な来院で、症状が軽くなると来なくなることから、根本的に良くなるまで治療を受けていただくことができていません。

患者さんご自身が感じられた変化
腰痛は昔からあって、度々激痛も経験していました。今回も激痛で立てなくなり、仕事も休むことになり、途方に暮れていましたが、往診してもらえるということでお願いしました。

初診の時は、自宅で寝ている状態でしたが、鍼を受けると、鍼治療独特の響きという感覚がはっきりとあって、恐る恐るではありましたが、立って動けるようになり、初診の日の夕方には、駅前まで買い物に行けました。

その後も鍼治療を受ける度に、腰が楽になり、痛みも取れてきました。それと、私の場合、痰が大量に出て呼吸が楽になったことで、以前より良く眠れるといったこともありました。

仕事には復帰でき、良かったのですが、忙しい毎日に戻り、海外出張などもあり、鍼治療を思ったように続けられない状況です。時期をみて、じっくりと鍼治療を受けて、しっかり腰を治せたらと思っています。

考察
10代から腰部にまつわる症状があり、首などは長年かけて壊してきている体に思え、特に腰の硬さには根深いものがあります。

それでも、特に、腰部と骨盤の境目と臀部の深部を中心に、鍼で緩めていくと、かなりはっきりと痛みがとれ、症状は改善します。腰部が整うと体の土台が整うわけですから、その上に立つ、それまで無理のかかっていた背骨の負担も徐々にとれることで、この患者さんの場合、呼吸が楽になり、よく眠れるようになるという、体の根本的な機能も高まります。

ご本人は職業柄、忙しく、生活も不規則になりやすく、なかなか鍼治療を継続することができません。腰がつらくなって、これ以上、悪化すると仕事ができなくなりそうになってきた時に、治療院にかけ込むことが続いています。鍼に対する反応が非常に良く、鍼が効きやすいタイプなだけに、もったいなく思います。

長期にかけて悪くしたものほど、治療にも時間はかかります。この患者さんのように鍼を受ければ楽になり、動けるようにはなることは多々あります。しかし、治療を集中して行なって、ある程度、体の状態が上向いて安定してくるまで治療をやりきらないと、また症状が再発し、その繰り返しに思えます。

ある程度、良い状態になるまで治療を行えば、あとはメンテナンスとして、1ヶ月~2ヶ月に1度ぐらいのペースで、良い状態が保てるように思えます。

カテゴリー:腰椎椎間板ヘルニア

診療日時
月・木・金:10時半〜18時半
(最終診療開始時間:17時)
土・日:10時半〜19時半
(最終診療開始時間:18時)

休診日
火・水
火・水以外の祝日は診療日となります。

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