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ミケランジェロ…

10年ほど前にバチカンを訪ね、サン・ピエトロ大聖堂の凛とした空間の中で、ミケランジェロ作「ピエタ」を見たときにその神々しさをただただ感じました。そんなこともあり、この逸話が心に響きました。

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ある人がミケランジェロに尋ねた
彼はイエスの像をつくっていた
「あなたの創作は偉大ですね」
彼が言うには、「私は何もしてやしません
イエスがこの大理石の塊に隠れていたのです
私はただ彼が解放されるのに手を貸したにすぎません
彼はすでにそこにいました
ただ少し余計な大理石が、必要以上のものがくっついていただけです
不必要なものがそこにありました
私はその不必要なものを切り落としました
私はただ彼を発見したにすぎません
創作したのではないのです」

この大理石の塊は捨てられていた
そこで彼はそれをもらっていった
そして、イエスの像の中でも最もすばらしいもののひとつがその塊からできたのだ
ミケランジェロは言った
「私がこの塊のそばを歩いていると、イエスが私を呼んだ
その塊の中に隠されて、彼は、
"ミケランジェロ、ここへ来て私を救い出しておくれ!"
と言ったのだ
そこで私はただ仕事をしたにすぎない」

私にはこの逸話が鍼灸治療にも通じるものがあるような気がしてなりません。

何か異物を外部から足したり、内部から取り出したり、治療者側が「治す」ということではなく、患者さんの中に秘められた治癒力、余計なものを省いた生命力、そういったものを引き出すことが鍼灸師の目指すことに感じています。

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カテゴリー: 鍼治療の説明

不眠症と日光

不眠症を訴える患者さんのほとんどは、首から肩、そして肩甲骨の内側、胸椎5番を中心に硬さがはっきりとあります。

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鍼治療では、その硬さや張りを鍼によって緩め、時には硬い結合組織を切るようにして根本の硬さに対してアプローチしていきます。

このような身体に現れる状態を解決することが不眠症を解消するために最初に必要なことと思います。その上で、患者さんご自身の生活の中でできることを実行してみることが、不眠症の解決を実現する近道に思えます。

不眠症に限らずですが、私は身体の調節機能の低下による不調というのは、自然界のリズムと体の間にズレが生じている状態に思えてなりません。

現代人の多くは都市部で生活し、自然を感じる機会が少なく、自然界との関係が希薄であるといえるのではないでしょうか。

体内のホルモンであるメラトニンとセロトニンという物質が睡眠に関連が強いとされています。メラトニンには体内時計をリセットする作用があり、日光を浴びると分泌量が減少し、その約15時間後に分泌量が増加するとされ、睡眠を促すとされています。

例えば、夜11時に寝るのなら、15時間前である朝8時に日光を浴びると良い睡眠を得られやすいということになるかと思います。また、セロトニンは日光を浴びると体内で増加し、精神安定の作用があるとされます。

このようなホルモンに関することは一つの観点に過ぎないのかもしれませんが、日光には人間にとって様々な作用が他にもあるのかもしれません。

朝から外に出て、結果、日光を浴びるということは特別なことではありませんが、現代人にはなかなかできないことなのかもしれません。

でも、10分でもいいので、朝、外に出て、オススメはただ日光浴するより、散歩をしながら日光を浴びれると血行も促進され、相乗効果があるように思えます。

大切なことは、シンプルに自然を肌で感じることなのかもしれません。

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カテゴリー: 不眠症

鍼の響き

鍼が的確に「ツボ」をとらえると、「響き」と呼ばれる、じんわりとした感覚が走ることがあります。その響きは、その鍼の刺さっている個所の深部に起きる場合もあれば、腹部や手足に走る場合と様々です。

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響いている個所がその患者さんの悪い所だとも言われています。また、響きがなければ、効いている鍼ではない、とも言われています。
 
その響きの感触は患者さんによっても異なり、もの凄く心地良くて何時間でも鍼をしていてほしいという方もいれば、痛く感じる、キツいという方もいらっしゃいます。

痛く感じる場合やキツく感じる場合は、鍼の太さをより細いものにしたり、鍼の操作をより慎重にし、繊細な手技が必要とされます。

私の経験からいえば、響きが痛く、キツく感じる患者さんほど、身体の状態は悪く、治療にも時間がかかるように思えます。それでも、時間をかけて治療していく内に、少し痛かったり、キツく感じていた響きが「痛きもち良い」といったものに変化してきたり、少しキツいぐらいでないと物足らない、といった患者さんもいらっしゃいます。

術者としては、患者さんの反応を見極めながら、その患者さんに適した響きをだしていくことが大切に思えます。

私の鍼の先生は、響きは上品でマイルドで味わい深いものでなければならない、と仰いながら、食器棚から陶器製の杯を取り出し、私に手渡すと、この杯のように、色合いや模様に品があって、重さや質感が絶妙でよく手になじむものが品があるということであって、こういった味わい深いものが鍼の響きに備わっていなければならない、と仰っていました。

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カテゴリー: 鍼治療の説明

東洋医学の1ページ目

私が鍼灸学校に入学して最初に開いた東洋医学の入門書の1ページ目にこう書かれていたことを覚えています。

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「人体は小宇宙である。」

これには幾つもの深い意味が含まれているのだと思いますが、私なりに以下のように感じるものがありました。

人間には宇宙の全てを理解することができないように、人体も全てを理解できるものではない。従って、人体を理解しようと試みる者は、その全てを理解できないことを心に刻んで、謙虚な心で探求しなさい、と私は感じました。

その後、私は鍼治療の道を歩んできて治療の経験を積めば積むほど、この謙虚さは最も大切なことの一つに思えてなりません。なぜなら、謙虚さがなければ、鍼灸師の一人よがりな治療になり、患者さんのための治療ではなくなるからです。

鍼治療とは「対話」である、といわれます。患者さんが感じる鍼の感触、私が感じる私の手や鍼から伝わってくる感触、また、患者さんの訴え、ご希望や、それに応えたいと思う私の気持ち、そういった患者さんと私との間で繰り返される様々な「対話」があります。

この「対話」は鍼灸師の一人よがりな自己満足では実現できません。鍼治療に対して、私はいつでも謙虚に、真摯に取り組むように努めています。

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