コラム
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投稿日:2016年09月30日
臓腑(ぞうふ)とは? ~東洋医学の基本的な考え方の一つ~
「五臓六腑に染み渡る…」
とは、「内臓全体に染み込むように美味しく感じられる」という表現ですが、東洋医学では「六臓六腑」とされます。この「六臓六腑」のことを「臓腑」と呼びます。
「臓腑」が様々な要因で変調をきたすと、病気となるとされます。臓腑の「臓」は、中身がつまった実質臓器とされ、「腑」は管状や袋状といった中身が空洞の中空臓器とされます。「臓腑」は以下のようになります。
この「六臓六腑」は、内臓器そのものと、それぞれの内臓の機能を含めたことをひっくるめたものを指します。
西洋医学で言われている、例えば胃なら臓器である胃のことだけを意味します。胃の機能のことまで「胃」という言葉には含まれないかと思います。
ちょっと話がわかりにくいかもしれませんが、内臓の機能を含めたことというのは、「六臓六腑」のそれぞれが以下のような機能を持っているとされ、臓器そのものに加え、機能や働き、つながりといったことが含まれています。以下は全ての機能や働きではないですが、わかりやすいものだけを並べてみました。
肝(かん)
・魂を臓する。
・判断力や計画性などの精神活動を支配する。
・蔵血を司る。
・筋肉を司る。
・爪を司る。
・目につながる。
・怒り過ぎると肝を傷める。
・外邪を防ぐ。
心(しん)
・神を臓する。
・六臓六腑を統括し、知覚・記憶・思考・意識・判断などの精神活動の支配、
六臓六腑の調和を保つ。
・血脈を司る。
・脈を介して血を全身にくまなく運行させる。身体諸器官の活動を支える。
・舌につながっている。
・喜び過ぎると心を傷める。
脾(ひ)
・営を臓する。
・運化(水穀を消化し、後天の精や津液、血・営衛などを吸収して全身に送る
作用)を司る。
・消化・吸収を行う。
・肌肉を司る。
・口につながる。
・津液の生成を司る。
・思い過ぎると心を傷める。
肺(はい)
・気を司る。
・呼吸を司る。
・通調水道(脾の働きによって胃から上部に運ばれた水分を全身に散布する
作用)を司る。
・皮毛を司る。汗腺を調節する。
・鼻につながる。
・憂鬱になり過ぎると肺を傷める。
腎(じん)
・精を蔵する。
・成長・発育・生殖・老化などを司る。
・水を司る。
・水分代謝を支配する。
・骨を司る。
・耳につながる。
・恐れ過ぎると腎を傷める。
心包(しんぽう)
・心を保護する。
・実体のない架空の臓器。
胆(たん)
・決断や勇気を司る。
・胆汁を蔵する。
小腸(しょうちょう)
・胃から送られてきた糟粕(飲食物のかす)を受け取り、内容物をさらに
消化し、澄んだ清いものと濁ったものに分け、清いものは脾を通して全身へ
送り、濁ったものは蘭門で水分と固形分に分けられ、水分は膀胱へ、
固形物は大腸へ送られる。
胃(い)
・脾とともに消化吸収を行う。
・水穀の受納・腐熟を司る。
・通降を司る。
・内容物を小腸・大腸に送り、新たな飲食物を受け入れる。
大腸(だいちょう)
・大便を肛門から排泄する。
・「伝導の官」と呼ばれる。
膀胱(ぼうこう)
・貯尿・排尿作用を行う。
・「州都の官」と呼ばれる。
三焦(さんしょう)
・気が昇降出入する通路。
・水分の運行の通路。
・体温調節作用、気血津液の調整作用、輸瀉作用の三つを行う。
三焦は上焦、中焦、下焦と分けられる。
・上焦は横隔膜より上部の機能を指す。働きは清気を取り入れ血と共に全身に
巡らせる。衛気・津液を全身の皮膚に巡らせ皮膚に潤いを与えて、体温調節を
行う。
・中焦は横隔膜から臍(へそ)までの間の機能を指す。働きは消化・吸収を
行い、そこから生じる精気を、営気と血とし、経絡を介して全身に巡らせる。
・下焦は臍から下部の機能を指す。働きは消化した糟粕を大便、水分を
尿として排出する。
上記をご覧になって、六臓六腑それぞれが持つ、だいたいのイメージをつかんでいただけたらと思いました。
西洋医学の臓器で言われていることとほとんど同じことや、メンタル的なことを臓腑が司っていたりと東洋医学独特のものもあったかと思います。
例えば、肝では、「判断力や計画性などの精神活動を支配する。」とありますが、肝の働きが鈍くなると、「物事の判断力や計画性までもが鈍くなる」ということを意味します。
臓腑は、五行説と呼ばれる思想に当てはめられます。この五行説とは、自然界における万物は木・火・土・金・水の5つの元素から成り立つという考え方です。
以下の図は臓腑を五行説に当てはめた図となります。この場合、六臓六腑ではなく、五臓五腑となり、心包と三焦はありません。
上の図の中に「相生(そうせい)関係」と「相克(そうこく)関係」があります。
「相生」とは、「生み出す関係」であり、これはわかりやすいかと思います。
「相克」とは、「相克」の「克」とは「勝つ」の意味であり、それぞれの臓腑が勝ったり負けたりして権勢し合っているような関係といえます。
「相生」ばかりだと、どんどん全体が増えてしまっていくようですが、「相克」の関係性があるために、どんどん増えてしまうのを抑制しているともいえるようです。
このように、東洋医学では人体はそれぞれのパーツとパーツが単独で機能しているということではなく、「臓腑を当てはめた五行説」の考え方に代表されるように、それぞれが連動し関係性を保ちながら機能しているとされます。
弱った臓腑が元気を取り戻し全体のバランスが整えば、その患者さんの本来持ち合わせる治癒力が充分に発揮され、病が消失していくことになります。
臓腑の「臓」とは実の詰まった実質臓器のことであり、肝・心・脾・肺・腎・心包があり、「腑」とは管状や袋状の中空臓器のことであり、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦となります。また、このそれぞれの臓腑は、臓器そのものとその臓器の働きなどが含まれるとされます。
それぞれの臓腑の特徴も見ていただきました。
この臓腑は、万物は木・火・土・金・水の5つの元素から成り立つとされる「五行説」という思想に当てはめられ、東洋医学の基礎的な考えとなっています。
今までのコラムでも今回のコラムに似た内容もあったかと思いますが、臓腑についてまとめられたものではなかったので、今回このようなコラムにさせていただきました。
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とは、「内臓全体に染み込むように美味しく感じられる」という表現ですが、東洋医学では「六臓六腑」とされます。この「六臓六腑」のことを「臓腑」と呼びます。
「臓腑」が様々な要因で変調をきたすと、病気となるとされます。臓腑の「臓」は、中身がつまった実質臓器とされ、「腑」は管状や袋状といった中身が空洞の中空臓器とされます。「臓腑」は以下のようになります。
この「六臓六腑」は、内臓器そのものと、それぞれの内臓の機能を含めたことをひっくるめたものを指します。
西洋医学で言われている、例えば胃なら臓器である胃のことだけを意味します。胃の機能のことまで「胃」という言葉には含まれないかと思います。
ちょっと話がわかりにくいかもしれませんが、内臓の機能を含めたことというのは、「六臓六腑」のそれぞれが以下のような機能を持っているとされ、臓器そのものに加え、機能や働き、つながりといったことが含まれています。以下は全ての機能や働きではないですが、わかりやすいものだけを並べてみました。
六臓六腑それぞれの特徴
肝(かん)
・魂を臓する。
・判断力や計画性などの精神活動を支配する。
・蔵血を司る。
・筋肉を司る。
・爪を司る。
・目につながる。
・怒り過ぎると肝を傷める。
・外邪を防ぐ。
心(しん)
・神を臓する。
・六臓六腑を統括し、知覚・記憶・思考・意識・判断などの精神活動の支配、
六臓六腑の調和を保つ。
・血脈を司る。
・脈を介して血を全身にくまなく運行させる。身体諸器官の活動を支える。
・舌につながっている。
・喜び過ぎると心を傷める。
脾(ひ)
・営を臓する。
・運化(水穀を消化し、後天の精や津液、血・営衛などを吸収して全身に送る
作用)を司る。
・消化・吸収を行う。
・肌肉を司る。
・口につながる。
・津液の生成を司る。
・思い過ぎると心を傷める。
肺(はい)
・気を司る。
・呼吸を司る。
・通調水道(脾の働きによって胃から上部に運ばれた水分を全身に散布する
作用)を司る。
・皮毛を司る。汗腺を調節する。
・鼻につながる。
・憂鬱になり過ぎると肺を傷める。
腎(じん)
・精を蔵する。
・成長・発育・生殖・老化などを司る。
・水を司る。
・水分代謝を支配する。
・骨を司る。
・耳につながる。
・恐れ過ぎると腎を傷める。
心包(しんぽう)
・心を保護する。
・実体のない架空の臓器。
胆(たん)
・決断や勇気を司る。
・胆汁を蔵する。
小腸(しょうちょう)
・胃から送られてきた糟粕(飲食物のかす)を受け取り、内容物をさらに
消化し、澄んだ清いものと濁ったものに分け、清いものは脾を通して全身へ
送り、濁ったものは蘭門で水分と固形分に分けられ、水分は膀胱へ、
固形物は大腸へ送られる。
胃(い)
・脾とともに消化吸収を行う。
・水穀の受納・腐熟を司る。
・通降を司る。
・内容物を小腸・大腸に送り、新たな飲食物を受け入れる。
大腸(だいちょう)
・大便を肛門から排泄する。
・「伝導の官」と呼ばれる。
膀胱(ぼうこう)
・貯尿・排尿作用を行う。
・「州都の官」と呼ばれる。
三焦(さんしょう)
・気が昇降出入する通路。
・水分の運行の通路。
・体温調節作用、気血津液の調整作用、輸瀉作用の三つを行う。
三焦は上焦、中焦、下焦と分けられる。
・上焦は横隔膜より上部の機能を指す。働きは清気を取り入れ血と共に全身に
巡らせる。衛気・津液を全身の皮膚に巡らせ皮膚に潤いを与えて、体温調節を
行う。
・中焦は横隔膜から臍(へそ)までの間の機能を指す。働きは消化・吸収を
行い、そこから生じる精気を、営気と血とし、経絡を介して全身に巡らせる。
・下焦は臍から下部の機能を指す。働きは消化した糟粕を大便、水分を
尿として排出する。
上記をご覧になって、六臓六腑それぞれが持つ、だいたいのイメージをつかんでいただけたらと思いました。
西洋医学の臓器で言われていることとほとんど同じことや、メンタル的なことを臓腑が司っていたりと東洋医学独特のものもあったかと思います。
例えば、肝では、「判断力や計画性などの精神活動を支配する。」とありますが、肝の働きが鈍くなると、「物事の判断力や計画性までもが鈍くなる」ということを意味します。
臓腑は「五行説」という思想に当てはめられる
臓腑は、五行説と呼ばれる思想に当てはめられます。この五行説とは、自然界における万物は木・火・土・金・水の5つの元素から成り立つという考え方です。
以下の図は臓腑を五行説に当てはめた図となります。この場合、六臓六腑ではなく、五臓五腑となり、心包と三焦はありません。
上の図の中に「相生(そうせい)関係」と「相克(そうこく)関係」があります。
「相生」とは、「生み出す関係」であり、これはわかりやすいかと思います。
「相克」とは、「相克」の「克」とは「勝つ」の意味であり、それぞれの臓腑が勝ったり負けたりして権勢し合っているような関係といえます。
「相生」ばかりだと、どんどん全体が増えてしまっていくようですが、「相克」の関係性があるために、どんどん増えてしまうのを抑制しているともいえるようです。
このように、東洋医学では人体はそれぞれのパーツとパーツが単独で機能しているということではなく、「臓腑を当てはめた五行説」の考え方に代表されるように、それぞれが連動し関係性を保ちながら機能しているとされます。
弱った臓腑が元気を取り戻し全体のバランスが整えば、その患者さんの本来持ち合わせる治癒力が充分に発揮され、病が消失していくことになります。
まとめますと…
臓腑の「臓」とは実の詰まった実質臓器のことであり、肝・心・脾・肺・腎・心包があり、「腑」とは管状や袋状の中空臓器のことであり、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦となります。また、このそれぞれの臓腑は、臓器そのものとその臓器の働きなどが含まれるとされます。
それぞれの臓腑の特徴も見ていただきました。
この臓腑は、万物は木・火・土・金・水の5つの元素から成り立つとされる「五行説」という思想に当てはめられ、東洋医学の基礎的な考えとなっています。
今までのコラムでも今回のコラムに似た内容もあったかと思いますが、臓腑についてまとめられたものではなかったので、今回このようなコラムにさせていただきました。
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カテゴリー: 鍼治療について