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投稿日:2016年07月27日
ツボとは何か
「ツボ」という言葉は、一般的に広く使われ、いわゆる「肩こりに効くツボ」といった使い方や「笑いのツボ」といったように、「ツボ」のことを「ポイント、要点」といった意味で使うこともあるかと思います。
東洋医学では、「ツボ」を正式には「経穴(けいけつ)」といいます。「経穴」は、「気」といったエネルギーの通り道とされる「経絡(けいらく)」上に点在し、体中に365個ある、またはそれ以上、存在するといわれています。
「ツボ」は「経穴」の別名というか、一般的な呼び方となります。
「ツボ」をどう考えるかは諸説あります。中国の鍼灸の考え方、日本の鍼灸の考え方、また流派によっても、「ツボ」をどうとらえ、どう使うか、といったことは様々です。
ツボについては壮大過ぎて、私ごときが語れることではないと思いますし、一生、鍼治療を研究しても、私には何もわからないものなのかもしれません。以下は私個人が感じていることとなりが、考え方が偏っていたり、説明が不十分であったりするかと思いますが、お許しください。また、現在は以下のような考えですが、10年後、20年後と時間が経つにつれ、考え方も変わっていくのかもしれません。
「ツボ」というのは、全身を巡る「気」と呼ばれるエネルギーの出入り口であるとともに、老廃物であったり、東洋医学的にいえば「邪気」と呼ばれる「負のエネルギー」が溜まっている場所に感じます。
従って、ツボでは、「邪気」と「正気(せいき: プラスのエネルギー)」を交換するといったことが行なわれている気がします。
鍼灸では、「邪気」を取り除く方法のことを「瀉法(しゃほう)」と呼び、「正気」を体内に入れることを「補法(ほほう)」と呼びます。
この「瀉法」と「補法」のやり方にも様々な考え方があるようです。一般的には、「瀉法」は素早い鍼の抜き差し、であったり、経絡の流れに反して鍼を刺す、といったように様々な方法があります。「補法」は「瀉法」の逆の方法となります。
私としては、1本の鍼を打ってから抜くまでの間に「瀉法」と「補法」があり、それは患者さんの呼吸に合わせた鍼の動きによって、「邪気と正気の交換」が為されると考えます。
鍼の動きとしては、上下の動きはもちろんですが、鍼を捻って回転させる動きにも大きな意味があると思います。鍼が螺旋の動きをしながらも上下に絶え間なく動きながら、「邪気と正気」が交換されるイメージがあります。
ツボの場所は、教科書的な「~関節から~関節に向かって何寸」といったような示され方があります。
しかし、それはあくまでも教科書的な方法であり、実際の患者さんのお体では、通用しないことが多々あります。同じツボでも、ツボは患者さんお一人お一人によって、微妙に異なるということだと思います。
それでは、そのツボをどう探すかといえば、それは鍼灸師の指の感覚をはじめとする五感を頼りに探すしかないと私は思います。
ツボを特定するには、周りと異なる、左右の同じ場所を比べて異なる、皮膚上に鉛筆の芯のような突起が手に触れる、皮膚の色が異なる、皮膚がザラついている、凹みがある、などといった主に皮膚面に現れている細かな差異や反応を感じ取りながら、鍼灸師の経験を元にツボを特定していくことになります。
このツボの特定が正確であればあるほど、治療の効果も上がるのだと思います。
一般の方が、ご自分やご家族に、せんねん灸のようなお灸をされるといった場合は、だいたいの位置で構わないかと思いますが、上記のような皮膚面に現れている反応を意識しながらされると、さらに効果が高くなるかと思います。
「~に効くツボ」といった言われ方をするツボは、鍼灸の長い歴史の中で積み重ねられたデータによって、効果があるとされるのだと思います。
しかし、単純に、あるツボがある症状に効く、として、同じ症状を持つ患者さんに、同じツボを選んでも、効果は薄い、もしくは、一時的に症状が緩和しても、すぐに元に戻る、といったことが起きるように思えます。
それは、患者さんのお体は、当たり前のことですが、お一人お一人、異なり、同じ症状だとしても、何が原因で、どのように鍼をしなければならないかは、患者さんそれぞれによって異なります。
同じ患者さんでも、先週と今日とでは、お体は常に変化しています。その変化に合わせて、様々な治療の調節が必要となります。
また、「~に効くツボ」だけに鍼をするということよりも、お体全体のバランスを整えていく、といった鍼の打ち方のほうが、根本治癒に近づける気がします。
それは、お体全体のバランスの欠落によって、その歪みが体のある部位に負担をかけ、老廃物や邪気がツボに集まることで、気の流れが滞るといったことが原因となり、症状が表に現れてきていると考えられるからです。
「~に効くツボ」に囚われず、お体全体のバランスをとらえながら、身体に現れているツボを正確にとらえ、適切な鍼ができれば、ツボを通して、「邪気と正気」の交換が行なわれ、お体全体の気の流れが滞ることなく巡りだすこととなり、その患者さんが兼ね備えている治癒力を発揮できる体作りができると考えます。
「~に効くツボ」とは別に、「このようなタイプの患者さん、このような症状をもつ患者さん、に対して、重視するツボ」というものがあります。
例えば、背中のほぼ中央に「胃兪(いゆ)」というツボがありますが、胃の症状のある患者さんは、この胃兪に硬さといった反応が出ることが多いです。これは、胃兪につまりのようなものがあることで、胃につながる神経が圧迫をうけ、胃の機能が低下する、と考えられます。
このように、患者さんのタイプや症状によって、あるツボに反応が出る傾向があり、そのようなツボを重視しながら、お体全体を意識するというのが、実際の鍼治療となります。
今後のコラムでは、私が重視しているツボをご紹介できたらと思っています。
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東洋医学では、「ツボ」を正式には「経穴(けいけつ)」といいます。「経穴」は、「気」といったエネルギーの通り道とされる「経絡(けいらく)」上に点在し、体中に365個ある、またはそれ以上、存在するといわれています。
「ツボ」は「経穴」の別名というか、一般的な呼び方となります。
「ツボ」をどう考えるかは諸説あります。中国の鍼灸の考え方、日本の鍼灸の考え方、また流派によっても、「ツボ」をどうとらえ、どう使うか、といったことは様々です。
ツボについては壮大過ぎて、私ごときが語れることではないと思いますし、一生、鍼治療を研究しても、私には何もわからないものなのかもしれません。以下は私個人が感じていることとなりが、考え方が偏っていたり、説明が不十分であったりするかと思いますが、お許しください。また、現在は以下のような考えですが、10年後、20年後と時間が経つにつれ、考え方も変わっていくのかもしれません。
ツボの正体
「ツボ」というのは、全身を巡る「気」と呼ばれるエネルギーの出入り口であるとともに、老廃物であったり、東洋医学的にいえば「邪気」と呼ばれる「負のエネルギー」が溜まっている場所に感じます。
従って、ツボでは、「邪気」と「正気(せいき: プラスのエネルギー)」を交換するといったことが行なわれている気がします。
鍼灸では、「邪気」を取り除く方法のことを「瀉法(しゃほう)」と呼び、「正気」を体内に入れることを「補法(ほほう)」と呼びます。
この「瀉法」と「補法」のやり方にも様々な考え方があるようです。一般的には、「瀉法」は素早い鍼の抜き差し、であったり、経絡の流れに反して鍼を刺す、といったように様々な方法があります。「補法」は「瀉法」の逆の方法となります。
私としては、1本の鍼を打ってから抜くまでの間に「瀉法」と「補法」があり、それは患者さんの呼吸に合わせた鍼の動きによって、「邪気と正気の交換」が為されると考えます。
鍼の動きとしては、上下の動きはもちろんですが、鍼を捻って回転させる動きにも大きな意味があると思います。鍼が螺旋の動きをしながらも上下に絶え間なく動きながら、「邪気と正気」が交換されるイメージがあります。
ツボの探し方
ツボの場所は、教科書的な「~関節から~関節に向かって何寸」といったような示され方があります。
しかし、それはあくまでも教科書的な方法であり、実際の患者さんのお体では、通用しないことが多々あります。同じツボでも、ツボは患者さんお一人お一人によって、微妙に異なるということだと思います。
それでは、そのツボをどう探すかといえば、それは鍼灸師の指の感覚をはじめとする五感を頼りに探すしかないと私は思います。
ツボを特定するには、周りと異なる、左右の同じ場所を比べて異なる、皮膚上に鉛筆の芯のような突起が手に触れる、皮膚の色が異なる、皮膚がザラついている、凹みがある、などといった主に皮膚面に現れている細かな差異や反応を感じ取りながら、鍼灸師の経験を元にツボを特定していくことになります。
このツボの特定が正確であればあるほど、治療の効果も上がるのだと思います。
一般の方が、ご自分やご家族に、せんねん灸のようなお灸をされるといった場合は、だいたいの位置で構わないかと思いますが、上記のような皮膚面に現れている反応を意識しながらされると、さらに効果が高くなるかと思います。
「~に効くツボ」は本当に効くのか
「~に効くツボ」といった言われ方をするツボは、鍼灸の長い歴史の中で積み重ねられたデータによって、効果があるとされるのだと思います。
しかし、単純に、あるツボがある症状に効く、として、同じ症状を持つ患者さんに、同じツボを選んでも、効果は薄い、もしくは、一時的に症状が緩和しても、すぐに元に戻る、といったことが起きるように思えます。
それは、患者さんのお体は、当たり前のことですが、お一人お一人、異なり、同じ症状だとしても、何が原因で、どのように鍼をしなければならないかは、患者さんそれぞれによって異なります。
同じ患者さんでも、先週と今日とでは、お体は常に変化しています。その変化に合わせて、様々な治療の調節が必要となります。
また、「~に効くツボ」だけに鍼をするということよりも、お体全体のバランスを整えていく、といった鍼の打ち方のほうが、根本治癒に近づける気がします。
それは、お体全体のバランスの欠落によって、その歪みが体のある部位に負担をかけ、老廃物や邪気がツボに集まることで、気の流れが滞るといったことが原因となり、症状が表に現れてきていると考えられるからです。
「~に効くツボ」に囚われず、お体全体のバランスをとらえながら、身体に現れているツボを正確にとらえ、適切な鍼ができれば、ツボを通して、「邪気と正気」の交換が行なわれ、お体全体の気の流れが滞ることなく巡りだすこととなり、その患者さんが兼ね備えている治癒力を発揮できる体作りができると考えます。
重視するツボ
「~に効くツボ」とは別に、「このようなタイプの患者さん、このような症状をもつ患者さん、に対して、重視するツボ」というものがあります。
例えば、背中のほぼ中央に「胃兪(いゆ)」というツボがありますが、胃の症状のある患者さんは、この胃兪に硬さといった反応が出ることが多いです。これは、胃兪につまりのようなものがあることで、胃につながる神経が圧迫をうけ、胃の機能が低下する、と考えられます。
このように、患者さんのタイプや症状によって、あるツボに反応が出る傾向があり、そのようなツボを重視しながら、お体全体を意識するというのが、実際の鍼治療となります。
今後のコラムでは、私が重視しているツボをご紹介できたらと思っています。
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