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たねの森を訪ねて

たねの森を訪ねて01先週の休日は、埼玉県日高市のたねの森を3年ぶりに訪ねました。当日は畑でエゴマの作業があるということで、一緒に畑仕事をさせていただき、久しぶりに土に触れ、土の温かさ、土の香りや植物の生命力を感じることができました。

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私が初めてたねの森を訪ねたのは10年前で、最初に愛媛県の福岡正信さんの農園を訪ね、そこで知り合った人づてに、たねの森に辿り着き、一時期は連日のように畑仕事の手伝いをさせていただいていました。

その頃の私は、鍼灸の道を歩み始めていましたが、鍼灸の文献や教科書といった卓上の理論といったものだけでなく、生命というか、もっとリアルに自然を実際に感じ、その感触を自分の五感を通して経験したかった想いがありました。その経験が鍼灸治療を歩む者にとって絶対に必要なことだと信じていましたし、今でもそう思っています。それは、鍼灸の考え方には人体は自然と一体のものであるという考えが大前提であるとされるからです。たねの森という空間で自然を感じる様々な経験をさせていただいたことは私にとって鍼灸師としても財産であり、ただただ感謝するばかりです。

たねの森を訪ねて02たねの森では紙さん一家が本物の種を作られています。現在の一般的な種は、F1種(交配種)と呼ばれ、一代で力を出し切ってしまい、二代、三代となるにしたがって、生産性が低下し、中には種が採れないものもあるようで、F1種は代々永続的につながっていく種ではありません。F1種の作物は形が良かったり、効率が良かったり、人間都合にとっては良いことがあります。しかし、それは本来の自然界のものとはかけ離れたものであり、代々つながっていく「種のリレー」が途絶えることになります。

人類が農耕を始めた1万年前から、人々は種を家宝のように大切に守りながら受け継いできました。それが20世紀に入ってから、このF1種という人工的に交配された、代々つながらない種は、資本主義的な生産主義、効率主義と価値観が合致し、大規模農業経営と共に急速に広がったのでした。

「種のリレー」が途絶えるということは、命の営みの上で最も大切な多様性や永続性が途絶えることになります。

たねの森では、途絶えてしまった「種のリレー」を取り戻し、失われた種を守り広め、継承の文化や多様性の価値観を取り戻すための様々な活動に取り組んでおられます。

東洋医学、とりわけ鍼灸治療の全盛期は江戸時代であるといわれていますが、明治維新や第二次世界大戦後のGHQによって弾圧され、近年になって西洋医学一辺倒からの東洋医学の価値観が見直されてきている状況があります。

私は東洋医学、鍼灸治療を取り巻く状況とこの「種のリレー」とに、重なる部分があると感じています。

無農薬・無化学肥料のたねの店
たねの森
http://www.tanenomori.org/

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カテゴリー: 探訪記

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