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鍼の響き

鍼が的確に「ツボ」をとらえると、「響き」と呼ばれる、じんわりとした感覚が走ることがあります。その響きは、その鍼の刺さっている個所の深部に起きる場合もあれば、腹部や手足に走る場合と様々です。

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響いている個所がその患者さんの悪い所だとも言われています。また、響きがなければ、効いている鍼ではない、とも言われています。
 
その響きの感触は患者さんによっても異なり、もの凄く心地良くて何時間でも鍼をしていてほしいという方もいれば、痛く感じる、キツいという方もいらっしゃいます。

痛く感じる場合やキツく感じる場合は、鍼の太さをより細いものにしたり、鍼の操作をより慎重にし、繊細な手技が必要とされます。

私の経験からいえば、響きが痛く、キツく感じる患者さんほど、身体の状態は悪く、治療にも時間がかかるように思えます。それでも、時間をかけて治療していく内に、少し痛かったり、キツく感じていた響きが「痛きもち良い」といったものに変化してきたり、少しキツいぐらいでないと物足らない、といった患者さんもいらっしゃいます。

術者としては、患者さんの反応を見極めながら、その患者さんに適した響きをだしていくことが大切に思えます。

私の鍼の先生は、響きは上品でマイルドで味わい深いものでなければならない、と仰いながら、食器棚から陶器製の杯を取り出し、私に手渡すと、この杯のように、色合いや模様に品があって、重さや質感が絶妙でよく手になじむものが品があるということであって、こういった味わい深いものが鍼の響きに備わっていなければならない、と仰っていました。

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カテゴリー: 鍼治療の説明

東洋医学の1ページ目

私が鍼灸学校に入学して最初に開いた東洋医学の入門書の1ページ目にこう書かれていたことを覚えています。

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「人体は小宇宙である。」

これには幾つもの深い意味が含まれているのだと思いますが、私なりに以下のように感じるものがありました。

人間には宇宙の全てを理解することができないように、人体も全てを理解できるものではない。従って、人体を理解しようと試みる者は、その全てを理解できないことを心に刻んで、謙虚な心で探求しなさい、と私は感じました。

その後、私は鍼治療の道を歩んできて治療の経験を積めば積むほど、この謙虚さは最も大切なことの一つに思えてなりません。なぜなら、謙虚さがなければ、鍼灸師の一人よがりな治療になり、患者さんのための治療ではなくなるからです。

鍼治療とは「対話」である、といわれます。患者さんが感じる鍼の感触、私が感じる私の手や鍼から伝わってくる感触、また、患者さんの訴え、ご希望や、それに応えたいと思う私の気持ち、そういった患者さんと私との間で繰り返される様々な「対話」があります。

この「対話」は鍼灸師の一人よがりな自己満足では実現できません。鍼治療に対して、私はいつでも謙虚に、真摯に取り組むように努めています。

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