ホーム > 鍼治療例

鍼治療例

私が今まで診させていただいた患者さんの症例をご紹介させていただいております。

患者さんがどのような症状で来院され、私がどのように患者さんの状態を見極め、どのような鍼治療をどのぐらいの期間、頻度で鍼治療を行ったのか、その結果、患者さんの最初の症状などがどう変化したのかをご紹介させていただいております。

ご自身の症状などと比べて、参考にしていただけたらと思います。


不眠症
性別 女性
年齢 30歳代
最もお困りの症状 不眠症
その他の症状 腰痛、肩こり、耳閉感、便秘、冷え性、疲れやすい

初診時の症状、体質
不眠症で睡眠導入剤は3年前から服用。寝つきが悪く、眠りが浅い。朝、起床しても体はスッキリとはしない。

仕事は夜勤があり、生活のリズムは不安定で、不眠症を引き起こす原因にご本人は思える。

腰痛は4ヶ月前からあり、股関節にも痛みがある。肩こりがあり、頭痛が時々ある。耳閉感があり、特に右耳が強い。2年前にうつ病で休職し、9ヶ月に復職。

体質的に、手足の冷えがあり、疲れやすく、身体がだるい。

診察
頸部肩部肩甲骨内側にかけての張りが非常に強いです。第5胸椎付近にも硬さがみられます。これは、不眠症の患者さんの特徴でもあり、この頸部肩部肩甲骨内側第5胸椎付近の硬さが緩んでくると、自然とよく眠れるようになります。

それに加え、腰痛、股関節痛と腰部にも症状があり、第2腰椎付近、第4~5腰椎付近にも硬さがみられ、バランスを欠いた状態になっています。腰部を整えることで、体の上部に現れている各症状にも改善がみられると考えます。

治療内容
不眠症以外にも、腰痛、肩こり、頭痛、耳閉感などの症状もありますが、まずは睡眠の改善を第一とすべきです。

特に頸部肩甲骨内側第5胸椎周りを鍼で緩めていくことで、睡眠状態に良い変化がみられるはずです。

腰痛、肩こり、頭痛は連動性があり、特に腰部が緩んでくれば、背中、肩、首も連動して緩み、頭痛も消失するように思えます。

疲れやすいといった体質的な面も、各臓器にチカラをつけられる治療ができれば、時間はかかっても徐々に変化がみられるはずです。

不眠症の治療ポイント


経過
初診 2011年12月12日
肩甲骨周辺は非常に硬く、背部に張りが連なる。腰部も硬さに触れ、鍼の感触はしっかりとしたコツコツとしたものから徐々に緩む。患者さんは施術中は半分、寝てしまう感じで、施術後は湯上りのような状態。

第2回目 2011年12月18日
前回の治療当日の夜は良く眠れたが、その翌日は寝つきが悪く、以前と変わらない。ご本人は、肩は少し楽になったが腰はあまり変化がないように思える。耳閉感は頻度が少なくなっている。

治療は左右肩部から肩甲骨内側の鍼がメイン。鍼が吸い寄せられるような感触があった。

第3回目 2011年12月22日
ご本人は、前回の治療後に大きな変化はないが、背中が楽に感じられる。睡眠状態も変化がなく、眠れないことが多い。

肩部肩甲骨内側の上部の張りや硬さがとれてきている。胸椎5番付近は硬さが強く、腰部は特に右に硬さが残る。施術中はお腹が鳴ることが多く、鍼によって自律神経に良い作用が働いているように思える。

第4回目 2011年12月28日
ご本人は、睡眠状態にあまり変化は感じないが、腰は軽く感じる。眠りが浅く、起床時に疲労感を引きずっている。

頸部肩部は左のほうが張りが強い。前回よりも肩部肩甲骨内側は鍼を打った本数は少ない。

第5回目 2012年1月8日
ご本人は、腰痛、肩こりが楽になる。睡眠状態は、睡眠導入剤を服用すれば寝れるが、寝つきが悪く、夜中に起きたりして、スッキリ感はない。

頸部の鍼はしっかりとした当たりで手応えがある。肩甲骨内側は鍼の感触が重く、ゴムのような感触。触って硬く、治療後は緩む。

第6回目 2012年1月19日
ご本人は、腰痛はあまり気にならなくなってきた。睡眠も悪くなく、寝れていない感がなくなってきた。肩こり、頭痛は気にならなくなってきていて、耳鳴りも改善されてきている。

頸部はしっかりとした鍼ができた。肩部肩甲骨内側の鍼は本数がとても少なくなってきていて、より細い鍼のほうが適している。

第7回目 2012年2月16日
ご本人は良く眠れるようになってきていて、睡眠導入剤なしでも寝れている。疲れが溜まると腰痛が少しあって、また鍼に行きたいと思っていたがなかなか来れず前回から間が空いた。耳の閉塞感はなくなってきているが、耳鳴りは時々ある。

肩甲骨内側は、細かな硬さがちりばめられているような状態。初診ようころのような肩部の強い張りはない。

第8回目 2012年2月23日
ご本人は、腰痛、肩こりが少し気になる。睡眠状態は良い状態を維持できている。

右の肩甲骨内側に硬さが目立つ。腰部は鍼への反応がよく、効きやすい。

第9回目~21回目 月1回のペースで受診。
不眠症はその後は解消された状態を継続できている。夢を見やすかったり、悪夢を見たりといったことが一時期あったが、現在は特になし。疲労が溜まると腰痛は出やすい傾向はあるが、眠れるようになったことで、月に一度程度の治療で問題ない状態になっている。

治療期間: 1年6ヶ月
(睡眠導入剤なしでも寝れるようになれるまで…3ヶ月)

治療間隔
初診~3ヶ月間…週1回
それ以降…月1回

患者さんご自身が感じられた変化
仕事が夜勤もあり、生活が不規則になることがあり、そのようなことも不眠症の原因になっていると思いながらも、鍼治療を始めるまでの3年間は睡眠導入剤を服用して、ごまかしていました。

薬の服用は症状をごまかせるかもしれませんが、完治する方向ではなく、益々、薬に頼らなければならないということがあり、どうにか薬の服用を止めても眠れるようになりたい、という想いでこちらの鍼治療院に通院することにしました。

鍼治療を開始した当初は、直ぐに寝れそうな感じというものはなかったのですが、元々悪い腰が楽になるということが続きました。

睡眠に変化が出てきたのは、初診から1ヵ月半~2ヶ月が過ぎた頃でした。その頃と同じ時期から、肩こり、頭痛、耳鳴りといった症状も気にならなくなってきました。体が緩み始めて、それに従って、良く眠れ、腰痛、肩こり、頭痛、耳鳴りといった症状も改善がみられました。

その後は鍼治療の頻度を空けていきましたが、眠れないころに逆戻りするようなこともなく、良い睡眠状態を維持することができています。

正直、鍼治療で不眠症がここまで良くなるとは想像していませんでしたが、こうして良く眠れるようになった今の自分を見ると、本当に良くなったんだなぁと実感しています。

考察
鍼治療を始めるまでは、3年間、睡眠導入剤を服用し続けていましたが、週一回の鍼治療を約3ヶ月継続した結果、睡眠導入剤の服用なしでも良く眠れるようになり、その後も以前の不眠症の状態に戻ることはなく、良い睡眠状態を維持できるようになりました。

ご本人も治療開始前は寝れない状態が当たり前のようになっていたようでしたが、薬剤に頼りたくないというご本人の意思もあって、良い結果に結びついたようでした。

治療は頸部肩部肩甲骨内側第5胸椎周辺の鍼治療がメインで、治療を継続していくに従って、私のほうもそのメインとしていた部位が緩んできたことを感じましたし、鍼の本数が減り、鍼の太さもより細いもので対応できるようになりました。鍼によって体の中の滞りが解消されるに従って、体全体の循環が高まることが不眠症の解消につながったと考えられます。

不眠症の患者さんは頸部肩甲骨内側に硬さが現われ、気血といった本来、体全体に淀みなく巡っていなければならないものが、体の上部で停滞し、頭に血が上った状態になっている方が多いです。

この患者さんの場合、治療回数6~7回目から睡眠状態に改善が現われ、その後も不眠症に戻ることはなく、良い睡眠状態が維持できています。一時的な改善ではないことから、体の根本に変化がもたらされたことによるかと思われます。

カテゴリー:不眠症

診療日時
月・木・金:10時半〜18時半
(最終診療開始時間:17時)
土・日:10時半〜19時半
(最終診療開始時間:18時)

休診日
火・水
火・水以外の祝日は診療日となります。

ページトップへ戻る
Copyright © 2012- harikanwo.com. All rights reserved.