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鍼治療例

私が今まで診させていただいた患者さんの症例をご紹介させていただいております。

患者さんがどのような症状で来院され、私がどのように患者さんの状態を見極め、どのような鍼治療をどのぐらいの期間、頻度で鍼治療を行ったのか、その結果、患者さんの最初の症状などがどう変化したのかをご紹介させていただいております。

ご自身の症状などと比べて、参考にしていただけたらと思います。


ぎっくり腰
性別 女性
年齢 30歳代
最もお困りの症状 ぎっくり腰
その他の症状 首痛、肩痛、不眠症、冷え性、ふくらはぎの浮腫み、頭痛、生理痛

初診時の症状、体質
ぎっくり腰は10代の頃から10回は起こしていて、2年前に救急車で運ばれることがあった。6月と11月に、ぎっくり腰を起こすことが多い。

腰部と臀部は左側に痛みがでる。坐骨神経痛がある場合もあり、臀部~ふくらはぎが痛むことがある。座っている姿勢が最もつらい。

首~肩にかけて痛むことが多い。不眠症で睡眠導入剤の服用は欠かせない。手足や下半身の冷えが強く、夏場の冷房で体調をよく崩す。ふくらはぎに浮腫みがあり、痛むことがよくある。頭痛は側頭部と後頭部によくある。生理時は腹痛や頭痛が強い。

診察
典型的な上実下虚(じょうじつかきょ)の状態で、下半身に力がなく、肩甲骨の高さから上に頭部まで気が上がった状態です。

頭部、首、肩、肩甲骨周りに痛みなどの症状が強く出るタイプで、下半身は冷えが強く、腰~臀部を中心に慢性的な痛みを伴い、体のバランスを大きく欠いた時に、ぎっくり腰として体が悲鳴を上げて動けなくなる、といった状況に思えます。

腰部に関しては、背骨の最も下である第5腰椎と骨盤とのつなぎめの深部と仙骨部、腎臓と関連の深い第2腰椎付近にかなりはっきりとした硬さがみられます。

左第2腰椎付近の硬さはゴルフボールが埋まっているかのような、かなり大きく、はっきりとした硬さであり、左にのみ硬さがあります。

激しいぎっくり腰をされる患者さんにみられる特徴としては、腰部の左右にかなりの左右差があるということです。この患者さんのように第2腰椎の左にのみ位置する巨大な硬さは、今まで10年以上もぎっくり腰を繰り返してきた大きな原因に思えます。

治療内容
治療のポイントは、頸部肩部肩甲骨内縁に見られる硬さ、張りを鍼で丁寧に緩めていくことと、腰部の第2腰椎付近の左に存在する巨大な硬さと、第5腰椎と骨盤のつなぎめ、仙骨部の深部を鍼によって緩めていくこととなります。

まず第一に上記のように現れている硬さを緩めることで、上半身の痛みと、腰部から足にかけての痛みを取り去ることが最優先となります。

初診時のお体の状態としては、かなりバランスを欠いておりますが、上記の硬さを緩めることで、体全体の血液の流れ、気の流れ、神経の働きといった今まで滞っていた様々な流れが流れ出し、体の循環が高まることで、ぎっくり腰の改善ばかりに留まらず、様々な症状の改善・消失が期待できます。

ぎっくり腰の治療ポイント

経過
治療開始から早い時期に、腰の痛みは軽減されましたが波があり、初診から3ヶ月後の時期に一度ぎっくり腰を再発することがありましたが、その後は腰痛を訴えることはあっても、ぎっくり腰を起こすことはなくなりました。

腰部では、左第2腰椎の硬さと第5腰椎と骨盤のつなぎめ、そして仙骨部にあった硬さが緩まるにつれ、腰部~臀部~ふくらはぎの痛みがとれてきて、ご本人もぎっくり腰に怯えながらの生活から開放されたと仰っていました。初診から半年後には、山登りをされるほど、腰に対する不安感はなくなったようでした。

体調としても、初診直後から、睡眠に改善がみられ、便通が良くなり、仕事がハードでも疲れにくくなってきたりという変化がありました。

この患者さんは、感受性が高く、何事にも繊細な方なのですが、それが体調面にも響きやすく、波があり、一進一退といった時期もありましたが、現在ではメンテナンス目的として、月に一度来院されるペースとなっています。

治療期間: 5年(ぎっくり腰の再発がなくなり腰への不安がなくなるまで、6ヶ月)
治療間隔: 最初の6ヶ月は週1~2回、その後は徐々に治療間隔を空け、週1回、隔週に1回となり、現在は月に1回。

患者さんご自身が感じられた変化
私はよく体を使い果たし、体が悲鳴を上げ、ぎっくり腰もその現れの一つだと思います。

冷え性や不眠症、生理痛など慢性的な症状は食事や生活習慣に無頓着であったことが原因に思っています。

反省はしつつも、体がつらい時は自分ではどうにもできずにいましたが、鍼治療と出会うことができ、治療を受けると、たちどころに変化が現れ、つらい症状が取り除かれます。生命力、回復力、自然治癒力といった私本来が持っている力を取り戻してきていると感じます。

初診当初に訴えていた症状はたくさんありましたが、その中でも深刻だったのはぎっくり腰で、救急車で運ばれることもあって、いつまた倒れてしまうのではないか、という恐怖を感じていましたが、体が変化してくるに従って、その心配もなくなり、自分の体調にも自信が持てるようになってきていると思います。

考察
初診時の問診では、以前に激しいギックリ腰で救急車で運ばれたこともあったということもあり、また不眠や冷え性などの慢性的な症状も根深く、初診時のカルテに収まらないほど様々な症状や健康上の問題があったことを思い出します。

この患者さんは、物事に対して、人に対して、また環境の変化などに、非常に敏感かつ繊細であることや責任感が強いことで、人一倍疲労が溜まりやすく、ストレスも受けやすいように思います。お仕事においては、その繊細さや責任感の強さのよって、周囲から認められ、頼られる存在になられているように私は思います。その分、ご自身としては周囲の方々よりも疲労感を強く感じておられるように思えます。

ぎっくり腰に関しては、初診から3ヶ月の時点で一度ぎっくり腰を再発されたことがありましたが、その後は3ヶ月ぐらいは波がありましたが、初診から半年後には、ご本人もぎっくり腰の再発を心配せずに生活できるようになりました。

治療としては、左第2腰椎と、第5腰椎と骨盤のつなぎめ、仙骨部の硬さを鍼によって緩めることで、体の土台である腰部と骨盤部のバランスが整い、それに伴い、土台に乗っている背骨全体も自然と無理なく整い、頭部、首、肩、肩甲骨周辺といった上半身の凝りや硬さ、張りがとれてきました。その結果、初診時にあった様々な症状は徐々に軽度なものになり、多くは問題のない状態となりました。

この患者さんは、ご自身でも普段の生活の中で、体を自らメンテナンスできないものかと考えられ、太極拳や気功を始められ、その時期から、鍼治療の効果もさらに高まり、相乗効果があったと思いました。

カテゴリー:ぎっくり腰

診療日時
月・木・金:10時半〜18時半
(最終診療開始時間:17時)
土・日:10時半〜19時半
(最終診療開始時間:18時)

休診日
火・水
火・水以外の祝日は診療日となります。

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