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鍼灸の鍼と注射針の違い

「はり」と聞くと、病院での採血の時の注射針や歯科医院での麻酔の注射針をイメージされる方が多いかと思います。もちろん、私も経験がありますが、とにかく痛いですね。

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まず、漢字としては、鍼灸は「鍼」を使い、注射針は「針」を使います。裁縫の場合も「針」ですね。語源には諸説あるようで、はっきりしたことはわかりません。漢字の「鍼」に関しては、過去のコラムに書かせていただきました。

はりは、金と咸
https://harikanwo.com/column/index.php?e=7

今回は、鍼灸の「鍼」と注射針の「針」は何が違うのか、についてです。

太さがどのぐらい違うのか

注射針は薬剤、つまり液体を静脈に入れるのが目的ですので、中が管状になっていることから、それなりの太さになってしまう、ということです。

注射針の太さは、直径0.4~1.2mmとあるようです。

テルモ注射針
https://www.terumo.co.jp/medical/equipment/me11.html

それに対して、私が使用する鍼の太さは、直径0.16~0.34mmです。私が使用する最も太い鍼よりも注射針の最も細い針のほうが太いとなりますね。

ちなみに一般的に髪の毛の太さは、直径0.05~0.15mmといわれています。

先端について

注射針は皮膚に刺してから静脈の中に入り、薬剤を静脈内に流し入れるということになりますので、注射針が静脈を破るために、先端が鋭利に尖っています。静脈を破るため、注射針を抜くと出血します。

注射針の先端拡大写真


鍼と注射針の先端の違い


上のイラストのように、鍼灸の鍼は先端が丸まっています。私が使用する鍼は一般の鍼よりもさらに先端を丸めています。そのため、血管や神経は鍼を避けてくれるとされますので、血管を破って出血するようなことはまずありません。

ただし、瘀血(おけつ)と呼ばれる、毛細血管と毛細血管との間で、静脈に入らずに回収されずに漂っている血液が鍼を抜いたタイミングで一緒に出てくることがあります。この瘀血は冷えや痛みの原因ともされ、瘀血を体外に出すことも鍼の効果であるといえます。瘀血がしっかりと体外に出たほうが患者さんはスッキリされ、痛みなどから解放されることが多くあります。瘀血の量は、ごく少量で、直径1~2ミリ程度にジワっと出て、それで終わりです。包丁で指を切った時のように、垂れるほどだったり、しばらく止まらない、といったようなものではありません。

鍼と針は別物

上記のように、まず太さがかなり違うということと、先端の構造が違う、ということがいえます。注射針の先端の写真を見ると鍼灸の鍼とは全く別物に思えます。

また、鍼灸の鍼は注射針に比べ細いこと、それに加え、血管を傷つけにくい丸まった構造であることは、人体に刺さった時に、ほとんど痛みがない、といえます。では、鍼治療において、鍼が刺さった時に、痛みは全くないのか、といえば、それは患者さんの感受性によって、痛く感じやすい方もいれば、全く痛みは感じたことがない、という患者さんまで様々です。

痛みがでるとすれば、毛穴に鍼が入ったときに痛むという説もあります。他には、鍼灸師の技術としては、「切皮(せっぴ)」と呼ばれる鍼が皮膚を通過する動作がありますが、その時に特に、左手(右利きの場合)が甘いと切皮の時に痛みが出る場合があり、これを「切皮痛」と呼んだりします。この「切皮痛」がない鍼は心地良い鍼の条件の一つといえます。もちろん、この「切皮痛」がある時は、速やかに鍼を抜いて、打ち直します。

最後に鍼治療における「鍼の響き」について

鍼治療には、「鍼の響き」と呼ばれる鍼治療独特な感覚があります。鍼の響きについては、こちらのコラムをご覧下さい。

鍼の響き
https://harikanwo.com/column/index.php?e=2

このような鍼の響きを実際に患者さんに表現していただくと、「痛気持ち良い」「効いている感じ」「じんわりしている」「ビビビと走る」など様々です。感覚としては、「痛い」と「気持ち良い」の間のどこかの感覚といえるかもしれません。また、お体の状態が悪い方ほど「痛い」に近く、治療が進み、お体の状態が良くなるにつれて「気持ち良い」よりに近づいていく、といった傾向があります。

この鍼の響きは、注射針の痛みとは全く質が異なる別物の感覚である、ということは言わせていただきたいです。

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どんな鍼を使うのですか? ~鍼の種類~

鍼には様々な種類があり、代表的なものをご紹介させていただきます。

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毫鍼に関しては、私の流派のやり方を説明させていただきます。

毫鍼(ごうしん)

一般的にも鍼といえば、このタイプを思い浮かべられるのではないでしょうか。私はこの毫鍼のみを使用します。

毫鍼は鍼体(しんたい)と呼ばれる実際に刺さる部分と鍼柄(しんぺい)と呼ばれるグリップというか持つ所から成ります。

鍼の写真01


毫鍼の素材の種類と特徴は、以下のようになります。

鍼の素材

私の使用する鍼は、職人さんの手作りの鍼で、ステンレスの合金ですが、柔軟性は銀鍼に近く、一般的なステンレス鍼のような硬さではありません。柔らかい鍼は、患者さんにとっても痛く感じずらく、体に馴染みやすい鍼といえます。

価格は一般的な使い捨てのステンレス鍼の10倍ぐらいします。

私の使用する鍼の長さは、1寸5分(4.5cm)と2寸(6cm)の2種類を鍼をする場所によって使い分けます。また、鍼の太さは、以下のようになります。

1番鍼…直径0.16mm
2番鍼…直径0.18mm
3番鍼…直径0.20mm
5番鍼…直径0.24mm
7番鍼…直径0.28mm
10番鍼…直径0.34mm

ちなみに一般的に髪の毛の太さは、直径0.05~0.15mmといわれています。

鍼の太さは、それぞれの患者さんの体質や鍼への感受性、硬結(治療の対象物)の硬さ、などによって使い分けられます。

私の鍼の打ち方では、この毫鍼は、鍼管(しんかん)と呼ばれる管とセットで使い、鍼管は毫鍼より5mm短く、直径2mmの管状のものです。この鍼管は、鍼を打つ時に、患者さんが痛みを感じにくくするために使用されます。この鍼管は日本の鍼の特徴であり、中国の鍼には一般的には存在しません。

鍼と鍼管

鍉鍼(ていしん)

棒状のもので、皮膚には刺さりません。皮膚面を擦したり、押圧したりします。気の流れは体表にあり、それを調節する、という考えのもとに使われます。

鍉鍼

三稜鍼(さんりょうしん)

昔は腫れ物の切開に用いたり、現在では溜まった血液を体外に出す目的で使用します。

三稜鍼


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どのぐらいのペースで続ければいいですか?~治療間隔について~

治療開始時は週1回以上

治療間隔ということを考えるにあたっては、鍼治療開始時は最低週に1回をおすすめしています。

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鍼治療は治療を受けた直後から効果を感じていただけることが多いですが、鍼治療直後から体が変化し、それが治まるのが3日後~1週間とされます。2回目の治療は3日後~1週間後となります。従って、週に1~2回からスタートとなります。基本は週1回からはじめ、週2回の方はご本人が週2回を希望されることが多く、体がそう要求しているようにみえます。

患者さんの様子をみていて言えることは、治療期間がある程度かかったとしても、週1回以上で継続されている患者さんは、体に変化が出てきて、それが積み重なって、患者さんご本人もそれを実感しながら、治療に取り組んでいかれている方が多いということです。

治療スタート時から、隔週に1回、1ヶ月に1回、といった患者さんの場合、治療効果を積み重ねていくことができないため、毎回が初診時とほぼ同じ状態に戻ってしまい、なかなか完治に向う階段を駆け上がっていくことができません。患者さんご本人は、鍼を受けると体が軽くなり、楽になったりとするので、隔週に1回でも月に1回でも鍼治療を希望されるのかもしれませんが、そのペースですと、なかなか結果を出すことは難しいです。

体の治り方

治療を続けていく内に、体調に変化が現れ、症状に改善がみられていきますが、右肩上がりに一直線で完治まで辿りつけることはまずありません。

体の状態には波があり、その波の上下が段々と全体的には上昇していくというのが、体の治り方だと思います。波が下がった時に、患者さんは鍼治療を続けているのに、なぜ体調の波が下がってしまうのだろう、と悩まれる方がいらっしゃいますが、下がることも次に上昇するために必要な過程であるといえます。

ある程度のスパンで、上昇しているかどうかを判断されたほうが良いと思います。

体の治り方

治療間隔の空け方

こうして、体の状態の波の上下を繰り返しながら、治療の間隔も様子をみながら調節していきます。

治療開始時の週1回以上の治療から、体の状態が上昇し、訴えていた症状がとれて来たタイミングで、隔週、3週間に1回、月に1回といったように治療間隔を空けていきます。

その過程においても、治療間隔を空けたことで、体調が下がるようでしたら、週1回に戻し、また様子をみるといったことも必要ですので、注意深く治療間隔を調節することも大切です。

最終的には、体のメンテナンスを兼ねて月に1回は鍼を受けておく、といった患者さんが多いように思えます。

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カテゴリー: 鍼治療について

何回通院すればいいですか?~治療期間について~

鍼治療をどのぐらいの期間をかけて、治療に取り組んでいけばよいか、についてです。

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特に初めて鍼治療を受ける患者さんとしては、「何回通えば治りますか?」と聞きたくなる心情はよくわかります。

答えにはならないかもしれませんが、それは治療を進めていくに従って、つかめてくることであり、患者さんご自身にも感覚的にわかってくることかと思います。

治療を始める前に、「○回で治ります。」「全治○週間です。」といったことは鍼治療の場合、言いきることはできません。なぜなら、単に症状がなくなるといったことだけでなく、本当の意味での根本の治癒を実現するには、下記のように患者さんの体質などにより個人差が大きくあるからです。治療に要する時間は、患者さんの心身のダメージの深さによっても異なるのだと思います。

患者さんには、様々なタイプの方がいらっしゃるわけですが、体質として大きく分けるならば、以下の陰性と陽性となります。

陰性の方の特徴

冷え性傾向、甘いものや乳製品が好き、低血圧、低体温、むくみが気になる、貧血気味、心配性など。

陰性の方は、女性に多くみられ、普段はテンションが高くはありませんが、安定感があり、地道に継続できる強みがあるように思えます。健康面は、季節の変わり目などの変化に影響を受けやすかったり、休息が度々必要となりますが、急に激しい病気に襲われるようなことは少ないように思えます。

陽性の方の特徴

外交的、筋肉質、活発、食べすぎ傾向、声が太く張りがある、体が火照る、など

陽性の方というのは、男性に多くみられ、ライフスタイルとしても、外交的でバリバリ仕事をこなし、エネルギッシュです。健康面では、普段は元気に満ちていますが、体調の異変を逃すと、大病されるまで突っ走ってしまう傾向があるように思えます。

皆さんは、ご自身の体質がどちらよりだったでしょうか。陰性か陽性かに完全に当てはまる方もいらっしゃれば、どちらの要素も当てはまる、またはある時は陰性より、または陽性よりといった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

完全に陽性の方というのは、鍼治療において、一般的には、的確な鍼を打てれば、短期間で治療の効果が出やすいとされます。逆に、陰性の傾向の強い方ほど、治療にはある程度の時間をかけながら地道に取り組んでいく必要があることが多いかと思います。

古い鍼灸の文献によれば、江戸時代は陽性のタイプの方が多かったとされます。農業に携わる方であれば、一日中、外で陽の気を浴びて運動量があり、自然と一体したライフスタイルであれば、陽性の傾向であることは想像できます。

それに対して、現代人のライフスタイルはどうでしょうか?室内でパソコンに向かい、活動量も少なく、陰性のものに囲まれた生活といえるのではないでしょうか。当院に訪れる患者さんも圧倒的に陰性の方が多いです。

私にとっては鍼灸師として、1回の治療で最大限の結果を得るために最善を尽くします。しかし、特に陰性の傾向の強い患者さんの場合は、1回の治療で簡単に結果を出すことはできません。どうしても、治療を積み重ねていく過程が必要になります。

治療期間についてまた、長い期間かけて形作られた疾患を快方に向かわせるには、それなりの時間が必要となります。病気治し、体調を整えるということは、患者さんご自身の持つ生命力、治癒力によって体は快方に向かうという考えが、鍼治療の根底にあります。鍼治療はそのためのきっかけであり、それは強力なきっかけとなりえる可能性を秘めていると思います。鍼治療は血液循環、気の流れ、神経の流れといった体内の様々な循環を活発にすることで、結果、患者さんご自身の持つ生命力、治癒力を高め、病を必要としない体に変えていくことが目標となります。そう考えても、患者さんご自身の体内の環境が整い、循環が高まり、治癒力が発揮され、問題が解決されるまでには、時間がどうしても必要であるといえます。

もちろん、治療させていただく私としては、患者さんには一日も早く良くなっていただきたいという想いで治療させたいだきます。例えば、1年かけて悪くしたものを1年かけて完治させる、というのでは、治療の腕がある、とはいえないと思いますが、この1年をいかに短期間にできるかが鍼灸師としての実力が問われることになります。

また、例えば、鍼治療を始めてから3ヶ月で完治した場合、初診から3ヶ月経った時に、突然完治する、といったことではありません。その3ヶ月の間に、様々な変化があり、症状の出かたにも波があったり、体の状態も上下を繰り返しながらも、患者さんご自身が体が整い、症状がとれてくる感覚を実感することができます。

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カテゴリー: 鍼治療について

インタビューを受けて

先日、あるウェブ上の企画でインタビューを受けました。

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短い言葉で、伝えることは難しいですね…

質問① ここの治療院はどのような治療ですか?


私の鍼治療では、首から骨盤まで、背骨や骨盤の周りを重視します。

この場所に硬さなどの異常が現れると、各臓器に関連するツボが現れます。その現れたツボに鍼をすると、例えば、胸椎5番付近に現れるツボは心臓を癒し、腰椎2番付近に現れるツボなら腎臓を癒すとなります。

また、硬さなどの異常は、滞りとなり、本来の血液や気の流れが阻害され、全身の症状にもつながります。

鍼治療では、その滞りを解消することで、主に以下が可能となります。
①各臓器の働きが高まる。
②免疫力が上がる。
③自律神経を活性化させる効果によって、体の様々な調節機能が高まる。

質問② どうして鍼灸師になろうと思ったのですか?


インタビューを受けて自身が十代から二十歳という若い時期に、海外での生活やスポーツによって体を壊し、一般の医療は一通り巡るも見放され、東洋医学に目を向け、最終的には鍼治療に辿りついた経験があります。

私自身も治療家の先生方に支えられ、きっかけをいただきながら、自分の体と心を省みて、絶望的な毎日から一歩ずつ快方に向かいました。

自分が経験したことを母が癌を患った時に、少しでも傍で役立てたらという想いがあり、母の最期に寄り添いました。このような経験により、その後、鍼灸師を目指し、現在に至っています。

質問③ どうして、開院しようと考えたのですか?


私は現在の個人の治療院を開院する前は、往診や数人の鍼灸師で共有する鍼灸院に所属していました。

その過程を経て、その後、より丁寧に患者さんお一人ずつの治療にあたらせていただくには、地に足をつけた私個人の治療院を開院することが必要となりました。

大規模に展開していく治療院ではなく、丁寧に患者さんに向き合える継続可能な治療院を目指して、地道に「鍼の道」に励んでいきたいと考えています。

質問④ 今はどんな想いで、治療されているのですか?


鍼は物理的にも強力な治療法でありますが、なにか目に見えないものと対話するような、そのように技術的にも難しいものです。また、結果を求める患者さんに対応して、患者さんのお役に立てるということは、簡単なことではありません。

東洋医学では「人体は小宇宙である」といわれることからも、日々、自分の非力さを感じながらも、患者さんが快方に向かい、人生を切り開いていくことに、微力ながらも貢献することができたらという想いで鍼治療に取り組んでいます。

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カテゴリー: 鍼治療について

鍼をすると、どうなる?

鍼治療について、端的に説明するならば、を考えてみました。
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鍼治療をすると…

鍼治療の効果など詳細については下記をご覧ください。

鍼 神尾ホームページ 鍼はなぜ効くのか?
http://harikanwo.com/chiryou_naze.html

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カテゴリー: 鍼治療について

患者さんの不安 ~初診時に大切なこと~

先日、当院にお電話でお問い合わせがありました。初めてお電話をいただいた方でした。

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腰椎椎間板ヘルニアで、それほどの激痛ではないものの、腰に痛みがある方でした。この方は、この電話の前日に他の鍼灸院で治療を受けられたとのことでした。にもかかわらず、

「鍼 神尾では私のような場合、どのような治療をされるのですか?」

とお問い合わせをいただきました。

前日に受けた治療院では、痛みの強い患部に直接、鍼や灸をするのではなく、患部の周辺から治療していくようなやり方だったとのことでした。一応、その治療院で次回の予約を1週間後に入れているが、同時期に鍼 神尾でも治療を受けてもいいものか、といったことを仰っていました。

私がどのような治療をするのかに対しては、

「腰痛にまつわる病名には、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、すべり症など様々なものがありますが、腰椎4・5番や骨盤の中央にある仙骨の深部の硬さが原因となっていることがほとんどであることから、当院ではその硬さを鍼によって緩めることを最も重要視いたします。」

と答えました。

言い換えれば、腰椎4・5番や骨盤の中央にある仙骨の深部の硬さがより深刻になると、それがその患者さんによって、ある方は椎間板に負担がかかり腰椎椎間板ヘルニアとなり、脊柱管を圧迫する形になっていけば、脊柱管狭窄症となる、といったように、根っこは同じでも、その患者さんの体の状態、体の使い方、体の癖によって、病名が異なってくるように思えます。

患者さんの不安この腰椎4・5番や骨盤の中央にある仙骨の深部の硬さというのは、背骨と骨盤のつなぎ目であり、ここは人間が2本足で立った時点で最も負荷がかかる所であり、強力な靭帯や筋肉で支えてはいるものの、負担に耐え切れなくなると、ある意味、痛みなどの黄色信号を体が発し、これ以上、無理させないよう、また、休息させるように体が反応するのだと思うのです。痛み、しびれ、麻痺といった症状は、状態が悪化すればするほど、痛みは腰部よりも下へ、臀部の奥や太ももの裏、アキレス腱や足の甲にまで下がっていく傾向があります。

休息をとれば治るのであれば問題ありませんが、悪化すると自力では元に戻れない状態になり、そのような状態では治療が必要となります。いわば、鍼治療は自力で元に戻れるようになれるように体を助ける治療法に思えます。

それと、この患者さんは

「同時期に複数個所で鍼灸治療を受けてもいいのか?」

といったことも仰っていましたが、それに対しては、私としては、避けたほうがいいと伝えました。前日に受けた鍼灸院の治療方法、治療の考え方、治療計画といったものが私には全くわかりませんし、あれこれ手を出して中途半端に治療に取り組むのは良いことはないように思えます。前日にその鍼灸院で治療を受けたということは、その鍼灸院、鍼灸師とご縁があったということだと思いますし、この患者さんはご自分の判断で鍼灸院を選択されたのですから、それにきっと意味があるのだと思います。何度か通院されて、治療の効果が感じられず、いろいろな意味で、ご自身が納得して治療に取り組めないようでしたら、当院に足を運んでいただけたらと伝えました。

最後に、この患者さんですが、前日に他の鍼灸院で治療を受けたにもかかわらず、治療を受けた翌日に私の所に電話をしてきた心境を察すると、前日に受けた鍼灸院では、その日に行った治療に関する説明や、鍼灸師が感じた患者さんのお体の印象、今後どうやって治療して、どういった状態を目指すのか、患者さんが抱える疑問に答える、といったやり取りが不十分であったことで、この患者さんはいろいろなことがトータルで納得いかず、今後に関して不安になってしまったのではないでしょうか。

「今のところ、劇的な効果も感じてないし、今後の治療計画のことも説明がよくわからなかったし…でも、まだ一回受けただけだしなぁ…次回の予約はしているけれど、今後もこの鍼灸院で治療を続けていっても大丈夫なのだろうか?そうだ、ネットで調べてみよう…なんか「鍼 神尾」なんて所があるぞ…ちょっと電話して聞いてみようかな…」

これは私の勝手な想像ですが、このような心境だったのではないでしょうか。

鍼灸師は治療において、とにかく患者さんのお体が良くなるために全力で最善を尽くすことが第一だと思います。その上で、患者さんの不安を取り除けるように、説明すべきことはしっかりと伝えることで患者さんに納得していただくことが、患者さんの不安を取り除き、ご自身が意欲的に治療に取り組めることにつながるのではないでしょうか。

なかなか簡単なことではありませんが、大切なことだと思います。

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カテゴリー: 鍼治療について

鍼灸治療ってどこの治療院で受けても一緒?

鍼灸治療には、色々なやり方があり、流派やグループがたくさんあります。

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経絡というツボの並びを重視して、その流れを通すように鍼や灸をする方法。この症状には、このツボという風にツボを使っていくやり方。ツボには特にこだわらず、筋肉や神経に対して鍼や灸をする方法。そのそれぞれのやり方が混ざり合っているようなものもあるように思え、挙げればきりがないかもしれません。

このようなやり方の違いは、登山に例えると、みんな同じ頂上を目指しているけれど、その登るルートや装備などの違いとでもいえるのではないでしょうか。目指す頂上というのは、その患者さんの本来持ち合わせる自然に治ろうとする力を発揮できる体内環境を整えることであると、私個人としては、そう思っています。その整え方に色々な方法があるといえると思います。

鍼灸治療ってどこの治療院で受けても一緒それぞれの流派やグループの治療方法が違っているのは、はっきりしていることなのですが、では、同じ流派ならば、異なる鍼灸師でも治療自体は同じといえるのでしょうか?私個人としては、同じ流派でも鍼灸師個人の技術、経験によって、大きく異なると思います。また、その技術にしても、鍼灸師個人の物事に対する考え方や物事に取り組む姿勢、価値観といったものが土台となって、長い時間をかけて経験を積み重ねていく過程で形作られていくものだと思います。

私の鍼の師匠から最初に指導していただいたことは、単なる鍼の打ち方といったことではなく、

「鍼は心でするもの」

ということでした。

「心が鍼治療に伴っていれば、技術は後からいくらでもついてくる」

「患者さんを想って、早く良くなってもらいたい、と願う心を持って治療に取り組み続ければ、その内、良い鍼が打てるようになる」

という指導でした。

これは、やり方がどうこうといった理屈ではなく、もっと根本的な話であり、実際の治療で患者さんを前にして、こういう理論で、こう鍼をすればいい、ああ鍼をすればいいといった頭でごちゃごちゃと考えているガラクタは役に立たないということに思えます。

私の場合、雑念まみれの頭の中ですが、シンプルに原点に常に帰ることが必要だと思っています。

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患者さん統計 ~男女比、年代別などのデータ~

去年1年間の当院にご来院いただいた患者さんの男女比、年代別、初診率、地域別をまとめました。

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これから鍼治療を受けてみようという方に、参考にしていただけたらと思いました。去年、当院で受診された患者さん像をイメージしていただけるかもしれません。

男女比

以前はもっと女性の患者さんの割合が多かった印象がありました。女性のほうがより自然な療法に対して意識が高く、鍼治療に対して怖いといったイメージが少ないように思えます。男性でも、受ける前は怖がっていても、実際に鍼治療を受けると、いびきをかいて熟睡されている方もいらっしゃいます。

患者さん統計男女比

年代別

20~40歳代で8割を占める、ということを考えると、年齢に関係なく体調の不調はあるといえると思いますし、もしかすると若い世代のほうが環境の汚染や食品の質の低下、薬品の乱用など、体調を狂わす要因に曝されているのかもしれません。

もう一点は、当院を見つけていただく手段として、インターネット経由であることが多いということも若い世代の方が多い原因に考えられるかと思います。

患者さん統計年代別

都道府県別

東京は23区の患者さんがほとんどです。当院から交通機関を使っても片道30分以内の方が多いように思えますが、埼玉、千葉、神奈川から片道1時間以上かけて来院される患者さんもいらっしゃいます。遠方から来院される方は、他の鍼灸治療も含めて様々な療法を受けてきたが、いろいろな理由でうまくいかず、来院される方が多いように思えます。

患者さん統計都道府県別

鍼治療を受けるのは当院が初めての患者さんの割合

75%の方は、以前にも他の鍼灸治療を受けられたことがあるということですが、鍼灸は知っている人の中では知られていますが、一般には知られていないということがこのデータに現れているかもしれません。

私たち鍼灸師は、鍼灸治療を全く知らない方達に対して、どのように知っていただくか、といったことが課題となっています。

患者さん統計鍼治療を受けるのは当院が初めての割合


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鍼治療を受けた当日の過ごし方

鍼治療を受けた当日の過ごし方鍼治療を受けた当日に、基本的に絶対にしてはいけないことといったことはありません。

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ヘトヘトになるほどの運動、必要以上の長時間の入浴、深酒など、体力を消耗するようなことは避けるべきかと思いますが、無理のない範囲であれば構いません。

鍼治療を受けると、体内の浅いところ、深いところの滞りや硬さといったものが解消されますので、血行や気の流れが高まり、体中に栄養を運び、老廃物を回収し、心身のダメージを回復させます。

また、鍼がツボをとらえ、適度な刺激を与えることで、その刺激が神経系を伝わり脳に達します。すると、脳からの指令が脳内の器官や副腎などの臓器に伝わり、ホルモンなどの体を調節する物質が生成され、体を修復することにつながります。

このような変化が体内で起こることから、鍼治療を受けてから、ご自身の治癒力が活性化されます。ご自身の治癒力を最大限に生かすためにも、鍼治療を受けた後は余計なことに体力、気力は使わずに、体と心を休めていただくことをお勧めいたします。

患者さんのなかには、鍼治療を受けて、体が楽に感じて、いつも以上にがんばってしまう方がいらっしゃいます。気持ちとしてはわかりますが、鍼治療はエナジードリンクではありませんので、体を休めることを意識していただきたいです。

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診療日時
月・木・金:10時半?18時半
(最終診療開始時間:17時)
土・日:10時半?19時半
(最終診療開始時間:18時)

休診日
火・水
火・水以外の祝日は診療日となります。

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